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「センラの事好きだから見せたくなかったの」
「え?」
「嫌われちゃったらやだなって。、、、それだけ」
脱ぐからあっち向いてて、と彼の胸元を緩く押す。
「え、何それ可愛すぎひん?」
えぇ?嫌うわけないやん何言うてんの?と独り言の様に声を上げながらまた俯いた私の顔を上げさせようとする手から逃れようと身体を捩っても逃がしてくれない。
「可愛い顔見せて」
「、、、やだ。早くお風呂入ろ」
「お風呂は入るけど、こっちが先」
お願い、と甘えた声を出されると逆らえない。
ずるいなぁ、と思いながら顔を上げると唇の端を上げた彼の顔が見えた。
「大好き」
瞳を優しくした彼から両肩を掴まれ唇に優しくキスをされてなんだかいつもより恥ずかしい。
恥ずかしいけど、嬉しい。
「一緒に入ってくれるん?」
うん、と頷くと私に背中を向けて先に入ってねと柔らかい声がする。
彼に向ける自分のネガティブな気持ちはもうかき消されていた。
そういえばこの人はいつも私の欲しい言葉をくれるんだった、とさっきの戸惑いがまるで無かったかのように服を脱いで湯船に先に浸かった。
「入るよー」
浴槽に入ってきた彼の体温が背中に感じられる。
久しぶりに肌を合わせる感触に心臓が煩くなってきた。
変に緊張してしまう。
「Aちゃんとお風呂久しぶりや。嬉しい」
纏めた髪のせいで露わになった項に柔らかい唇の感覚がして身体が強ばる。
唇を離した彼は私のお腹に腕を回して体重を預けるように促された。
「傷痛ない?」
「ちょっと滲みたけど、もう大丈夫」
湯船に浸かるまでそこらじゅう感じた痛みはもう治まっていた。
彼の肩に頭を預けるとこめかみに寄せられる唇。
「良かった。上がったらちゃんと消毒しようね」
私の肩にお湯を掛けてくれている彼に頷くとお互い無言になりお湯を掛ける音だけが響く。
「前にお風呂でさ、」
「うん?」
「守らせてなんて偉そうな事言うたくせに、こんな風に怪我さしてしまってごめんな」
湯船から出した私の手首を緩く掴んで唐突に口を開いた彼の声は消え入りそうな声だった。
「センラのせいじゃないよ?」
「そうなんやけど、、、こんな辛い思いさせて悔しい」
悔しい、と言った彼の声は顔は見えないけど辛そうな顔をしてるんだろうなと想像出来た。
「センラとみんなが助けに来てくれたからもう忘れちゃった」
これは本当の気持ち。
彼はそっか、とそれ以上何も言わず抱き締める腕を強くしてくれた。
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あーりん(プロフ) - 神楽さん» ありがとうございます( ; _ ; )元の甘々要素に戻したくてふんだんに取り入れていこうとしてます、、、w甘々になってるのか?と自問自答付きですがw (2019年9月21日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
神楽 - 甘々ですな...。最高ですな.........。(語彙力低下中) (2019年9月20日 16時) (レス) id: 007b538a5a (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 無為さん» コメントありがとうございます!離れてさせていた分これからは暫くは穏やかな2人をお送りできればなーと思っております!更新頑張ります! (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 珠菜さん» ありがとうございますー!長いだけのお話なのに一気読みありがとうございます、お疲れ様でした( ; _ ; )これからも楽しんで頂けるように頑張ります! (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ゆうさん» 楽しみにして頂けていて嬉しいです( ; _ ; )!ハラハラしてもらうのが目的だったのでゆう様にそう言って頂けて、伝わってるんだなと安心出来ました!w (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月28日 7時