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もう寝ようねと抱き上げられて慣れたベットに降ろされるとすぐに睡魔は襲ってきた。
でもまだ寝たくない。
帰ってきた安心感と彼を感じたかった。
欠伸を噛み殺してもうちょっと起きてると言うと真っ暗な部屋で金色の瞳は細くなる。

「眠そうやんか」

「やだ」

「寝やな元気でーへんよ」

「センラがいるから元気出るもん」

「ふふ、可愛いけどあかんよ」

寝て、と隣で横になった彼に髪を撫でられると癖なのか瞼は素直に閉じられてしまう。
おやすみと唇が重なった感触に、助けに来てくれた時から気になっていた事が我慢できなくてまた瞼を開いた。

「寝るんやよ」

「ねぇ、センラ」

「んー?」

こら、と瞼を覆ったまま呑気な声が聞こえる。

「、、、何されたか、聞かないの?」

「、、、」

ずっと気になってた。
彼はごめんと謝るだけで、あの部屋で何をされたか聞かなかった。
身体を見れば酷く殴られた事はわかっても、それ以外の事はわからないはず。
もちろん抱かれたわけではない。
でもキスは何度もされたし触れられた。

躊躇いもなくキスをくれた彼に、帰ってきてからも何度もキスをしてくれる度に罪悪感が沸いた。

(浮気、じゃないけど...)

聞かれたいわけじゃない。
話したいわけでもない。
でも、彼は他の人が触れた私をどう思うかわからないけど知っておいて欲しい気持ちはあった。
今回の事はお互い悪くない。
それでもされてしまった事は彼が優しく触れてくれる度に私の心を蝕んでいく。
ふと耳の後ろを撫でる感覚に彼を見上げると淡い金色は真っ直ぐに私を見つめていた。

「気にならへんって言ったら嘘になる、、、けど、無理矢理思い出させる事はしたくない」

「うん」

「何されてても、好きな気持ちには変わりないしなぁ」

「、、、うん」

「された事を、Aちゃんが受け入れたわけじゃないのわかるし」

「言ってもいい?」

「辛くない?」

撫でてくれているからそのまま黙って頷くと彼も聞く姿勢を整えてくれたのがわかる。

「キスされたのと、身体を触られた」

「うん」

「それ以外させてない。嫌、、だったよ。センラ以外の人に触られて、き」

気持ち悪かったと言い終わる前に唇が重なった。
何度も優しく啄んでいく唇は次第に深くなって長く重なる唇の久しぶりの感触に身体の力が抜けていく。

「っ、、、センラ」

苦しくて息継ぎの間に名前を呼んでも、優しくて深い唇は何度も重なってキスの最中に握られた手は強かった。

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あーりん(プロフ) - 神楽さん» ありがとうございます( ; _ ; )元の甘々要素に戻したくてふんだんに取り入れていこうとしてます、、、w甘々になってるのか?と自問自答付きですがw (2019年9月21日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
神楽 - 甘々ですな...。最高ですな.........。(語彙力低下中) (2019年9月20日 16時) (レス) id: 007b538a5a (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 無為さん» コメントありがとうございます!離れてさせていた分これからは暫くは穏やかな2人をお送りできればなーと思っております!更新頑張ります! (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 珠菜さん» ありがとうございますー!長いだけのお話なのに一気読みありがとうございます、お疲れ様でした( ; _ ; )これからも楽しんで頂けるように頑張ります! (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ゆうさん» 楽しみにして頂けていて嬉しいです( ; _ ; )!ハラハラしてもらうのが目的だったのでゆう様にそう言って頂けて、伝わってるんだなと安心出来ました!w (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月28日 7時

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