197 ページ18
「天月くん、行かへんて」
「え、、、」
じゃあねと電話を切ってすぐ、彼が言うとみんなやっぱりという納得顔をしている。
「行く準備の仕事は進めてるけど当日病院に行く予定らしいで」
「それって、、、」
「仮病、やね」
少し気まずそうに彼が私に言う。
でも人ではない天月さんが行けないのは仕方ない。
さっきのみんなの様子を見ていれば、行くのが当然危ないことなんだとわかってしまった。
「Aちゃんも当日休んだら？」
「それは、、、したいけど出来ないかなぁ」
さかたんの言葉にインフルエンザにでもかからないと無理だろうなと思う。
そうなってしまえばまたぐちぐちと嫌味を言われてしまうから避けたい。
「とにかく、週末はいないから留守番お願いするね？」
「わかったー、、、」
しょんぼりとした彼にたった一日だと三人が笑う。
さみしいとは口にしなかったけど睨みつける彼に三人はすぐに口を噤んだ。
----------------
「ほんまはなー、どうせみんな見えへんやろうしこっそり着いていこうかと思っててん」
「、、、出張先に？」
みんなが帰ってベッドに入るとぽつりと彼が小さく零した言葉に同じことを考えてたなぁと顔が綻ぶ。
「そう。妖力も上がったみたいやし、嫌やけど元の服着れば外には出れるからうらたんか坂田に連れてってもらおうかなって思ってた」
でも無理やなと溜息をつきながら背中に腕がまわる。
「私もね、同じこと考えてた」
「ほんま？一日離れるなんて考えられへんかったしなぁ」
あいつらはたった一日かもしれへんけど俺にとっては長く感じるとまわされた腕の力が強まる。
「一人で寝れるん？」
「失礼な。寝れるよ」
意地悪な彼の声にそう言ってしまったけど内心は寝れるのかなと少し不安に思っていた。
「えー、ほんま？いっぱい甘やかして一人で寝られへんようにしたつもりなんやけどなー」
(何それ、、、)
黙ったまま彼の背中に腕を回すと小さく笑ったような気がした。
「こうやってくっつかれへんし、おやすみのチューも無いし、頭も撫でられへんし夜中に起きても一人なんやで」
「、、、わかってます」
何が言いたいのと背中を軽く叩くと、くすくすと笑う少し身体を起こした彼の唇が耳元に近付く。
「俺は寂しくて寝られへんよ」
「ね、寝なくても大丈夫なんでしょ」
そうなんやけどと彼はまた私を抱き直した。
意地をはってしまったけどそんなの私だって、、、
(寂しいに決まってる)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 510人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーりん(プロフ) - 折_こたぬきさん» わー！貴重な男性コメントありがとうございます！！しかもキュンキュンして頂けているとは、、、すごく嬉しいです！！次のお話でも宜しくお願い致します！ (2019年8月8日 3時) (
レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
折_こたぬき - 初コメ失礼します！初投稿から男子1人でずっとキュンキュンさせてもらってます！これからも更新頑張ってください！ (2019年8月8日 2時) (レス) id: 5fe8b549a6 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ☆レム☆さん» 大好きと言って頂けて嬉しいです( ；__； )！長くお付き合い頂いてありがとうございます！もちろんこちらもフォロバさせて頂くので宜しくお願い致します！ (2019年8月8日 0時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
☆レム☆(プロフ) - またよろしければTwitterのほう、フォローさせていただいてもよろしいでしょうか?長くなってしまい申し訳ありません。これからもずっと応援しております(*^^*) (2019年8月7日 23時) (レス) id: d6601494c3 (このIDを非表示/違反報告)
☆レム☆(プロフ) - はじめまして、コメント失礼いたします。投稿当初からずっと読ませていただいております。読む度に幸せな気持ちになれるこの作品が本当に大好きです(*^^*)無理はせず、あーりん様のペースで更新なさってくださいね！これからも楽しみにしております！ (2019年8月7日 23時) (レス) id: d6601494c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あーりん | 作成日時：2019年7月14日 15時
