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「大丈夫?しんどくない?帰る?」
「帰らないし、大丈夫」
あはは、と声をあげて笑うと電話の向こうにいる彼は拗ねている。
ランチを誘ってくれた彼にバレないよう昼食の買い物を済ませ、会社近くの公園のベンチに座って電話をかけると彼はすぐに出てくれた。
「しんどくないならええけど、、、」
「ありがと。休んでた間の分の仕事とみんなインフルエンザみたいでね、その分の仕事が沢山あるから辛いと思ってる暇ないよ」
「それはそれで心配なんやけど」
なんて会社や、と怒る彼にまた笑ってしまう。
「Aちゃんの事心配なのと、隣におらんのがさみしいわ」
急にしおらしくなる彼に、そうだねと返す。
「あんなに一緒におったの、初めてやったね」
三連休なんてなかなか無いし、私も同じ事を思っていた。
ただ、寝てばかりであんまり記憶が無いのが残念だけど、、、。
「隣にずーっとセンラがいたから、私もさみしい」
「ほなもう帰ろ」
間髪を入れずに言う彼に、それはできないと笑うとわかってるけどなー、と項垂れている様子だった。
「そろそろ戻らないと。切るね?」
「わかった。無理したらあかんで」
うん、と返事をすると、Aちゃんと名前を呼ばれる。
「なに?」
「電話ありがとう。大丈夫かなって思ってたから、声聞いて安心した」
「、、、うん」
いつになく真剣な声に、どきどきと心臓がうるさい。
「すきやで。仕事頑張ってな」
「ありがと。また帰りに連絡するね」
じゃあね、と電話を切って画面を見つめる。
すきやで、と甘い声を思い出してしまって今切ったばかりなのにまた電話したくなってしまう。
ランチを誘ってくれた彼には悪いけど、やっぱり彼に電話してよかったと早足で会社へと戻った。
きちんと仕事はこなしても公休なのに風邪ということが気に食わないらしい上司に仕事中したたかに攻撃されイライラしてしまう。
人数が少ないから余計標的にされるのか、と一息ついて顔を上げると、窓の外に人影が見えた。
うらたんと、さかたんの箒に跨ったまーしぃが私に気付くと手を振っている。
(心配してくれたのかな)
周りにバレないよう小さく手を振るとみんな笑ってくれた。
気付いたことに満足したのかうらたんとまーしぃはすぐに姿を消したけど、さかたんはがんばってねと大きな口を開けて伝えてくれると手を振ってどこかに飛んでいってしまった。
お見舞いのお礼もしないとな、と手帳に挟んでいたクローバーを眺めた。
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あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 発狂だなんてありがとうございますw出来る時になるべく更新するようにしているのでこれからもお付き合いお願い致します★ (2019年6月18日 5時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - もう、更新早めで発狂してました (2019年6月17日 19時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 白雨さん» 白雨様ー!ありがとうございます!m(_ _)mキャラクター崩壊も甚だしいですがこれからもよろしくお願い致します! (2019年6月17日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - 赤星になりましたね!おめでとうございます〜!これからの展開も楽しみにしてます(*´艸`) (2019年6月17日 11時) (レス) id: 7f0c200b78 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» ありがとうございます!深夜更新が多いのでご迷惑をおかけするかもしれませんがお付き合いよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年6月16日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月9日 16時