105:うらた ページ19
「思ったより元気そうで安心した。外にいるからなんかあったら呼んで」
病院の中庭を指差すから頷くと、また後でねとうらたんは姿を消した。
(優しいなぁ)
病院を聞かれたのはこの為かと納得して、彼にも優しさを感じるけどわざわざ来てくれたうらたんにも優しさを感じる。
ようやく来た自分の番に立ち上がって診察を受けるとすぐに診断結果は出た。
診断結果を聞いてる最中、診察の時にはいなかったけどみんなには見えないからと私の隣でうらたんも聞いていた。
インフルエンザという言葉に首を傾げているようだったけど、会社を休む事と出された薬の量を見て「ぇえ?!重症じゃん!」と声を上げるうらたんに返事をしそうになるのを堪えるのが大変だった。
「来てくれてありがと」
「お使いでも何でも言って。Aちゃんが買ってくれた服があるから俺たちで買いに行けるからね」
頷くとタクシーまで見送ってくれて、マンションのエントランスに入るまでも見届けてくれた。
エントランスで彼に電話をしていたから、玄関の鍵を開ける必要もなく扉を開いた。
「ちゃんと帰って来れてよかったぁ」
「...ただいま」
おかえりも言わず焦ったように身体を支えて抱き締めてくれる彼の身体に体重を預けて胸に顔を埋める。
「倒れへんか心配やってん。はよ横になってゆっくりしよう」
有無も言わさず軽々と抱き上げられて寝室に運ばれてしまう。
彼がリビングにいる間に着替えを済ませてベッドに横になると、やっぱり身体は悲鳴を上げていたようで気が抜けたからか頭痛と眩暈が酷くなってきた。
目を閉じていても開けてみてもぐるぐると頭を回されているような感覚がする。
寝返りをうってみても楽な格好がない。
大人になってから出す熱はこんなに辛かったっけ、と考えていると寝室のドアが開いて彼が入ってきた。
「うらたんから聞いたけど、インフルエンザやってんなぁ」
テレビでどんな症状か見たよ、とベッドの下に座ると私の顔を覗き込む。
「しんどかったのによう頑張ったね」
頭痛くない?と気を遣っていつもより優しい手つきでふわふわと髪を撫でる彼の大きい手。
(頑張ったねなんて、最近言われたことなかったな)
会社では頑張ることが当たり前で、仕事はやって当たり前。
残業もみんながしてるから当たり前。
上司もあんなだし、褒めてくれる人なんていなかった。
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あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 発狂だなんてありがとうございますw出来る時になるべく更新するようにしているのでこれからもお付き合いお願い致します★ (2019年6月18日 5時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - もう、更新早めで発狂してました (2019年6月17日 19時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 白雨さん» 白雨様ー!ありがとうございます!m(_ _)mキャラクター崩壊も甚だしいですがこれからもよろしくお願い致します! (2019年6月17日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - 赤星になりましたね!おめでとうございます〜!これからの展開も楽しみにしてます(*´艸`) (2019年6月17日 11時) (レス) id: 7f0c200b78 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» ありがとうございます!深夜更新が多いのでご迷惑をおかけするかもしれませんがお付き合いよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年6月16日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月9日 16時