76 ページ34
「Aちゃん」
ベッドに横になりながら携帯をいじっていると私の名前を呼ぶ声と共に背中にぽん、と手が置かれた。
「センラ！」
勢いよく起き上がった私にびっくりした後、昨日はごめんと申し訳なさそうに言う。
「どこも苦しくない？大丈夫？」
身体中を触るとくすぐったいと笑ってちょっと落ち着いてと起き上がって触っていた手を取られた。
「これ、、、俺やんな？」
手首の薄い痣を見て彼の眉は下がっていく。
(隠すの忘れてた、、、)
うん、と言いづらくて困っていると座ったまま柔らかく抱き締められる。
「ごめん、ほんまにごめん」
痛かったやんね、とだんだん彼の声は小さくなっていく。
「全然痛くなかったよ。大丈夫」
「、、、嘘。赤くなってるやん。凄い力じゃないとつかんよ、こんなん」
身体を離すと手首の痣を見て悲しそうな顔をするから困ってしまう。
痛くても、本当になんとも思ってないのに。
どこから話せばいいんだろう。
「昨日のこと、覚えてる、、、？」
おそるおそる聞くと彼は少し困った顔になった。
「ほとんど覚えてない、、、。ごめん」
他にどんな嫌なことをしたか聞かれるけど、嫌なことをされてないから何もしてないと答えると本当の事を言って欲しいと言う。
本当の事と言われてもないから困る。
むしろ私にとっては嬉しいことしかなかった。
(どうしよう)
「誰が来てくれたん？」
「みんな来たよ。センラのこと心配してた」
そう、と悲しそうな顔のまま。
「センラ」
「なに？」
ベッドで座ったまま向かいあった彼の顔を見上げると元通りの彼で金色の透き通った瞳が揺れている。
(戻った...)
いつも通りの彼だと安心して微笑むと彼はどうしたのと首を傾げる。
「私のこと好き？」
え、と彼の瞳が少し見開かれて三日月に変わる。
「好き。Aちゃんのこと、好きやよ」
「私もセンラのこと好き」
覚えてないならまた言おうと思っていたけど狡い聞き方をしてしまった。
びっくりさせられたんだからこれくらい許して欲しい。
「大事なことは、覚えてるみたい」
握っていた手は肩に置かれ、唇に冷たい感触がした。
「え、、、」
「好きやで」
昨日言ってくれたのを覚えてると続ける彼にそれは先に言って欲しかったかもしれないと両手で照れた顔が見えないように覆う。
「でも、それしか覚えてないんよ」
だから何をしてしまったかちゃんと教えて欲しいと言う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 726人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーりん(プロフ) - あみたさん» コメントありがとうございます！占ツクを始めたばかりで仕様もよく分かっておりませんので今のところ予定はありません; (2019年6月9日 11時) (
レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あみた(プロフ) - あの、R18をフラグを立てた別ページでお書きする予定は御座いませんでしょうか(><) (2019年6月9日 5時) (レス) id: d58bcb8372 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ばなにゃさん» コメントありがとうございます！今後もお付き合い頂けると嬉しいですm(_ _)m (2019年6月7日 13時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
ばなにゃ - すごくおもしろいです！これからも頑張ってくださいね♪ (2019年6月6日 13時) (レス) id: 58576af7fa (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 関西風しらすぅ@坂田家さん» 優しくてよく笑う、可愛いというイメージなのでそういって頂けて嬉しいですw (2019年6月6日 8時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あーりん | 作成日時：2019年5月27日 0時
