46:うらた、さかた ページ4
もう一度2人を見るともうやめて欲しいという私の気持ちをわかってくれたのか大笑いして流した涙を拭っている。
さかたんが杖を振るのを止めると上司の腕は下ろされなんだったんだと興奮気味に洩らしている。
未だに笑ったままのうらたんが端の窓に向かって黒い爪の指を弾くと、突然開いた窓から竜巻の様な風が課内に吹き皆のデスクに置いていた資料が天井に次々と舞っていく。
突然の風に元に戻そうと躍起になって皆の視線は私から外れ床に散らばった資料に集中している。
私のデスクを見ると、置いたままの資料。
今の風なら、私のデスクの上の資料も散らばっててもおかしくないのに。
(これも、2人が...)
皆の視線は散らばった資料集めに必死で床しか見ていない。
2人を見ると、片方の口角を上げ鼻で笑うような仕草を見せたうらたんが羽を羽ばたかせてどこかへと飛んでいった。
くすくすと口を抑えて笑っている様子のさかたんが私に気づくと、杖を私に1度振るとばいばい、と手を振って姿を消した。
これもこの間言っていた悪戯なんだろうか。
(助けてくれたのかな)
2人のおかげで私を怒ることよりも仕事優先になった資料を集めている上司の背中を見て思う。
とりあえず落ち着こうとデスクに座り散らばっていない資料を整えるふりをする。
マグカップを持ちくちをつけようとすると冷めきっているはずのスープからまた湯気が出ている。
一口飲み込むと入れたての様な熱さで驚く。
やっぱり温かい。
(さかたんだ...)
さっき私に振った杖は、これだったんだと気付いて小さく笑ってしまう。
私に魔法は使わないとあんなに必死に言ったくせに。
なんて優しい魔法だろう。
楽しそうに笑っていた2人を思い出す。
今日は皆が来る日だからお礼をしようと笑っていることがバレないようにマグカップで口元を隠した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 726人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーりん(プロフ) - あみたさん» コメントありがとうございます！占ツクを始めたばかりで仕様もよく分かっておりませんので今のところ予定はありません; (2019年6月9日 11時) (
レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あみた(プロフ) - あの、R18をフラグを立てた別ページでお書きする予定は御座いませんでしょうか(><) (2019年6月9日 5時) (レス) id: d58bcb8372 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ばなにゃさん» コメントありがとうございます！今後もお付き合い頂けると嬉しいですm(_ _)m (2019年6月7日 13時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
ばなにゃ - すごくおもしろいです！これからも頑張ってくださいね♪ (2019年6月6日 13時) (レス) id: 58576af7fa (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 関西風しらすぅ@坂田家さん» 優しくてよく笑う、可愛いというイメージなのでそういって頂けて嬉しいですw (2019年6月6日 8時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あーりん | 作成日時：2019年5月27日 0時
