68 ページ26
ふと目を覚ますと、隣にいる彼の様子がおかしい。
携帯で時間を確認すると早めに寝たからか日付もまだ変わっていない。
「センラ？」
暗闇に目が慣れてくると絡めていない方の手で苦しそうに胸元の服を掴んでいるのが見えた。
「センラ、大丈夫？」
聞こえていないのか反応してくれない。
もう一度呼ぶときつく目を閉じていた彼の瞳が薄く開いていつもの透明な金色の瞳ではなく琥珀色に光る瞳が覗いて驚く。
(瞳の色が...)
いつもと違うけどどこかで見たことがある。
なんだっけ、と苦しそうな彼の髪を撫でながら考えるとあの時だと思い出した。
私の血を分けて契約したとき。
あの時に一瞬だけ瞳の色が変わった。
(なんで今？)
眉間に皺を寄せ荒い息遣いの彼は苦しそうでどうしていいかわからない。
一人ではどうしていいかわからないから私の声が聞こえているかわからないセンラに誰が呼ぶね、と耳元で言うと視界は暗転し下にいたはずの彼が私の顔を見下ろしていた。
「センラ...？」
なにが起こったかわからない。
組み敷かれた身体はセンラの身体の重みでびくともしないし掴まれてベッドに沈んだ手首が痛い。
「どうしたの、大丈夫？」
何も答えないいつもとは違う彼にどきどきと脈は早くなっていく。
苦しそうに彼の顔が歪んで私の首元に彼の頭が寄せられる。
どうしたの、何か言って。
相変わらず動けないまま彼の言葉を待つけど何も言ってくれる気配が無い。
「センラ、うらたんかさかたん呼ぼう？」
飛べる二人ならすぐ来てくれるはずだと名前を出すと首元に埋まっていた彼がぴく、と反応した。
「二人の方が、、、っ？」
「え、、、？」
首元で小さく声がしたけどよく聞こえなかった。
ごめん、なぁに？となるべく優しく問いかけると彼の顔が再び私を見下ろす。
「二人の方が良かった？」
「何言って、、、」
なんの事かさっぱりわからない。
苦しそうに顔を歪める彼になんのことかと聞くと契約の事だと言う。
「そんな訳ないでしょ、センラとしかしないよ」
「俺が、勝手にしたことやから」
苦しそうで、泣きそうな彼の顔を見るのが辛い。
なんでそんな顔するの。
前にもこんな顔をさせたな、と夢だったのかあやふやな不機嫌だった日の夜を思い出す。
「魔法も使われへん、何もAちゃんのためになることできひん」
でも二人ならできると小さく彼が話す。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 726人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーりん(プロフ) - あみたさん» コメントありがとうございます！占ツクを始めたばかりで仕様もよく分かっておりませんので今のところ予定はありません; (2019年6月9日 11時) (
レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あみた(プロフ) - あの、R18をフラグを立てた別ページでお書きする予定は御座いませんでしょうか(><) (2019年6月9日 5時) (レス) id: d58bcb8372 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ばなにゃさん» コメントありがとうございます！今後もお付き合い頂けると嬉しいですm(_ _)m (2019年6月7日 13時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
ばなにゃ - すごくおもしろいです！これからも頑張ってくださいね♪ (2019年6月6日 13時) (レス) id: 58576af7fa (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 関西風しらすぅ@坂田家さん» 優しくてよく笑う、可愛いというイメージなのでそういって頂けて嬉しいですw (2019年6月6日 8時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あーりん | 作成日時：2019年5月27日 0時
