61 ページ19
干していた服が乾いたのを確認したさかたん達はまたね、と賑やかなまま帰っていった。
手を振り見送ったけど二人になるのが本当は不安で仕方なかった。
いつもと違う彼。
「お風呂入ってきたら？」
「うん、そうするね」
みんなが帰るとやっと帰ったー！と抱きついてきていたのに今日はそんな素振りもなくリビングへと戻っていく。
湯船に浸かってゆっくりしてもため息しか出てこない。
さかたんが迎えに来たことで怒っているなら、ごめんねと謝るのもおかしい。
おかえりと出迎えてくれたのにいつもと違う態度を取ったから怒っているんだとしたらちゃんと謝って仲直りしたい。
仲直りしていつもの様に明日は休みだとお風呂に上がったら一緒にアイスを食べて、、、
わからない。
彼はいつも拗ねることはあってもあんなふうになることは無かった。
悲しい。
どうしたらいい？
ずっとあのままだったらどうしよう。
やっぱり出ていくと言ったらどうしよう。
髪を洗ったから伝う水滴なのか涙なのかわからない雫が頬を伝う。
泣いたら心配してくれたな、といつかの大泣きした日の彼の顔を思い出してまた涙が溢れてくる。
柔らかく優しく笑う彼の顔がみたい。
Aちゃん、と膝にじゃれついて甘える彼がみたい。
頭を撫でると嬉しそうにする彼がみたい。
ご褒美が欲しいと拗ねていたのは朝の事だったのに遠い出来事のように感じる。
お風呂から上がったら謝ろうと髪を乾かしてリビング戻ると、彼はもう先に寝室に行ったようで姿が無い。
寝室のドアを開けると真っ暗で、彼はもう寝ているようだった。
(なんで、、、)
こんなこと、今まで無かった。
背を向けて寝ている彼の隣に寝てもこちらを向いてくれる様子は無い。
目を閉じてもどきどきと不安で心臓が煩い。
彼の背中に身体を寄せて振り払われたらどうしようと思いながら彼の身体に腕を回すとぴく、と反応はあったような気はしたけどそのままだったから泣かないように静かに深呼吸をして目を閉じた。
真夜中、髪を撫でられるような感覚がした気がした。
薄く目を開けると彼が私を見下ろしている。
(なんでそんな顔するの)
悲しそうな顔、なんで、と思うけど眠たさで瞼がまた閉じてしまう。
頬に感じた冷たさは、夢じゃなかったと思う。
昨日のはやっぱり夢だったのかと思うほど次も、その次の日も彼はそのままだった。
いってらっしゃいと行かないでと引き止めてわがままを言われる事も無く見送られた身体が寂かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 726人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーりん(プロフ) - あみたさん» コメントありがとうございます！占ツクを始めたばかりで仕様もよく分かっておりませんので今のところ予定はありません; (2019年6月9日 11時) (
レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あみた(プロフ) - あの、R18をフラグを立てた別ページでお書きする予定は御座いませんでしょうか(><) (2019年6月9日 5時) (レス) id: d58bcb8372 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ばなにゃさん» コメントありがとうございます！今後もお付き合い頂けると嬉しいですm(_ _)m (2019年6月7日 13時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
ばなにゃ - すごくおもしろいです！これからも頑張ってくださいね♪ (2019年6月6日 13時) (レス) id: 58576af7fa (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 関西風しらすぅ@坂田家さん» 優しくてよく笑う、可愛いというイメージなのでそういって頂けて嬉しいですw (2019年6月6日 8時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あーりん | 作成日時：2019年5月27日 0時
