君でなければ、駄目なんだよ

はつこいのおはなし ページ6

私とウォズ、二人揃ってツクヨミに捕まっている。
何でも、私達の初恋が気になるとか何とかで。

「まずはウォズから。ズバリ、初恋はいつ？」
「一昨年の夏だね」

一昨年の夏……

「ふむふむ。じゃあ次……ファーストキスは！」
「同じく、秋口頃に」

同じく秋口……

「初めてのデートは？」
「ファーストキスの、翌日に」

ファーストキスの翌日……

「ウォズは、初恋の人のどんな所に、一番最初に惹かれたの？」
「…声かな。初めて名前を呼ばれた時、その声がとても綺麗で、愛らしくて…」

ここまでくると、ツクヨミは怪訝そうにその眉をひそめ、何か考え出した。

「ウォズの初恋って、どう考えてもAよね？」

……お願い、真顔で言わないで。

「時期が完全に同じだもの。そういう事だったのね、あんなにヘタレだったのは」

ツクヨミがため息混じりに零した言葉に、ウォズが返答する。

「否定はできないが…全部、Aが初めてだったんだ」
「全部…？」
「…あんなに優しく触れられたのも、手を繋いだのも、この腕で抱き締めたのも……夜を、共にしたのも、全て」

みるみるその顔が赤くなっていく。
繋いだ手は震え、吐息も些か荒い。

「ウォズからはこれ以上聞けなそうね。Aへの質問に移るけど、良いかしら」
「良いけど…さっきウォズに全部言われちゃったよ？」
「嘘！ 本当に！？」

質疑応答、終了。
後には、ストールでぐるぐる巻きになって出て来ないウォズだけが残された。
……混沌。

いよいよ…→←私だって不安なの[如月 コヨミ様リクエスト!]

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