希望の光〜病系短編集〜 part14

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【樹】



いつも通りテレビ局に入ろうとしたのになぜか自分の足は動かなくて、それに伴って強い恐怖感も襲ってきた。





それに耐えられなくなった俺は姿を消すように逃げて。





俺に嫌がらせをするスタッフのことを俺は最近、実は知ってしまった。





その人たちは俺のことをよく褒めてくださるような正直、一番違うと思ってた人物で。





スタッフさんたちがトイレで俺のことをボロクソに言っていたところを俺は聞いてしまったことによってそれが発覚した。





嫌がらせを受けるようになってから、他のテレビ局でも同じように嫌がらせを受けるんじゃないか、という風に思うようになって仕事が全然楽しくなくなって．．．.この世からいなくなりたい、とも思った。





テレビ局から逃げ出した俺はタクシーに乗ってすぐ家に向かって。





でも、家に入った瞬間、俺の心は色々な感情に支配されて自分でも混乱していた。





生放送なのに仕事を無断で放棄してしまったこと、メンバーに迷惑をかけてしまったこと。





大好きなメンバーだけど、スタッフさんと同じように俺は嫌がらせを受けるんじゃないか。





勝手に家に帰るようなメンバーなんていらない、と言われるんじゃないか。





．．．.もう俺の居場所はなくなる。





そう本能的に感じて。





．．．.感情の整理が追いつかないほど混乱していて俺は無意識にカッターを握りしめていた。

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