. ページ29
【北斗】
慎太郎は本当に良い子だな、って思う。
俺が車いすに乗っているせいでみんなと同じ公園で遊べなくても、文句なに一つ言わずに笑顔で『ううん』って。
しばらく俺は慎太郎が遊んでいる姿を遠目から見ていたんだけど、慎太郎がジャングルジムからバランスを崩して落ちてしまった。
俺は走って、転落を防ぐこともできないから本当に申し訳なくて慎太郎の元まで車いすで行くと、半ばずり落ちるように地面に座って慎太郎に寄り添うことしかできなくて。
しかも片手で自分の姿勢を支えて、もう片方の手で慎太郎のことを抱きしめた。
北斗「ごめんね、ごめんね、慎太郎。こんな兄ちゃんでごめん。もうちょっとしっかりしてたらよかったのにな。」
俺がこんな体だから、慎太郎はわがままが言えなくなっちゃったんだよな。
全部、俺のせいなんだ。思わず俺まで涙が溢れてくる。
樹とか他の兄貴たちならこんなことにならなかったはずなのに。
俺は時間を忘れてしまって、いつもの導尿の時間を過ぎてしまった。
だけど、目の前の慎太郎はずっと泣いていて俺はずっとそばにいることしかできない。
結構、長い時間そのままの状態でいたから俺の体にも異変が起こってきて。
北斗「痛いな、」
背中とかが痛くなってきて、段々体も怠くなってくる。
それに、本来動かないはずの足が動いてくる症状『痙縮』も出てきてるし。
これはまずいかも。
慎太郎「ほっくん、」
北斗「ごめんね、」
どうしようもなくて、俺は慎太郎のことを慰めながら救急車を呼んだ。
もし、ここからタクシーで病院に向かうとして車いすの奴がそう簡単にタクシーを捕まえられるわけがないし、仮に病院に行けたとしてきっと他の兄弟が来るまで慎太郎が一人でいれるとは思えないからこうするしかなくて。
徐々に頭も痛くなってきて寒気もしてきた。
慎太郎のことをずっと抱きしめていたんだけど、救急車が到着するときにはもう背中の痛みも限界だったこともあって地面に寝転がってしまう。
救急隊員の方がやってきて、慎太郎が焦ってることは目に見えてわかっているのに兄貴としてなにもしてやれなかった。
慎太郎「ほっくん、車いす!ほっくんのこと、助けて!」
なんて、弟に言わせてしまって。
また泣かせちゃったよ。
俺、兄貴失格だな。
454人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ばどらぶ(プロフ) - Nana6022さん» なるほど!!分かりました。ありがとうございます!! (2021年1月12日 9時) (レス) id: cc32400ee4 (このIDを非表示/違反報告)
Nana6022(プロフ) - ばどらぶさん» コメント、ありがとうございます!確認したところ、『信号が青になった音がしているにも関わらず』という文章を書くつもりが分かりにくい文章になってしまいました…。ご指摘、ありがとうございます!すぐに直します! (2021年1月12日 0時) (レス) id: e4a4cd1e16 (このIDを非表示/違反報告)
ばどらぶ(プロフ) - きょもの腹部外傷のお話ですが、信号が赤になった音がしてが正しい文章ではないでしょうか? (2021年1月11日 23時) (レス) id: cc32400ee4 (このIDを非表示/違反報告)
Nana6022(プロフ) - はるきさん» 体調まで気遣っていただいてありがとうございます!はるきさんも体調にはお気をつけください!たまに更新頻度が落ちる時もあると思いますが、読み続けてくれると嬉しいです! (2020年11月14日 16時) (レス) id: e4a4cd1e16 (このIDを非表示/違反報告)
はるき - Nana6022さん» 第10章、あっという間でしたね。お疲れ様でした。11章目も頑張ってください。また最近寒くなってきたので体調管理には気をつけて下さい。 (2020年11月14日 16時) (レス) id: 801ad08d69 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Nana 6022 | 作成日時:2020年10月21日 23時