赤井秀一に娘がいた件

授業参観 ページ8

「おはよう、パパ。

今日、本当に仕事ないんだよね？」

「あぁ。

Aの学校の様子も見てみたかったしな。

昨日、必死で終わらせてきた」

そうきいて、ふにゃりと破顔するA、口元を緩ませる秀一。


和やかな雰囲気が、リビングダイニングをとりかこんだ。


「いってきます、パパ。学校でね？」

「あぁ。後でな」





学校。

この間、Aを呼び出し、まさかのAの逆鱗に触れた少女・桜田百合(さくらだゆり)。

百合の父親は元モデルで、今はファッションデザイナーの、自慢のパパである。

Aの父親が一度も授業参観に来ていないことは、既にリサーチ済み。

そのことをネタにいじろうと考えていた。

テストやリレーでAに負けたのが悔しいから。

ご自慢のパパを連れてAの前で〈親子〉を見せつけてやろう…そう考えて、百合の口がブイラインに釣りあがる。


「あ、百合ちゃんのパパだ！」

「かっこいいね〜」

たしかに百合の父親はシュッとしていて、スマートで爽やかな感じであるが、

(パパの方がかっこいいもんね)

と、Aが思っていたことは内緒である。


チャイムがなる直前…教室がざわっとなる。

百合とAは同時に振り向いた。

黒のニット帽とネイビーのシャツ、グレーのジャケットに整った顔立ち、抜群のスタイル、

Aと同じ、オリーブグリーンの瞳-


「赤井さんのお父さん？」

「めっちゃイケメン！俳優？」


明らかに、百合の父親より注目を集めている。

百合は唇をかみながらも、羨ましさを抱いた。





「では、皆さんに事前に書いてもらった作文を読んでもらいます。

テーマは、「お父さんについて」です。

じゃあ出席番号順に、赤井さんから」


クラスの視線が、秀一とAに集まった。




「私のお父さん

三年B組、赤井A

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