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■008 ページ8

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彼と目があうと、
動けなくなる。

山田くんが目を伏せて、はっ と笑った。




「なにその傘。目立ってしゃーねーな」

「・・いいじゃない。お気に入りなの」

「お気に入り?」

「うん。」

「・・・あっそ」




山田くんは不機嫌そうに、馬鹿にしたように笑って、ほんとお前って ... 、といいかけて
今度は哀しそうに目を伏せた。

どうしてそんな顔するのよ。

聞きたいけど、
聞いたら うるせぇ 、って言われて終わりだよ。




「入りますか、濡れたら風邪ひくよ」




びちゃびちゃに濡れてる人を素通りしていくわけにもいかずに勇気を出して聞いてみたのに、




「いらね。今お前の顔みたくない」




またそうやって、
冷たく私を突き放して、
私から離れる。




「その傘さぁ 、」




山田くんが振り向いて、
私の真っ赤な傘を指差した。




「すげぇ 有名なブランドの限定品。お前そのブランド好きじゃん」

「え・・うん」




なんでそんなこと知ってるんだろう。




「買った奴はさ 、お前の喜ぶ顔が見たかったんだよな、きっと」

「・・うん 、そうかも」

「なのに俺はお前の泣きそうな顔ばっかみてんだよ。」




は?

なにそれ。




私は傘をぎゅっと握って、眉をひそめた。




それじゃまるで・・・




この傘は、誕生日にもらったもので。

家で、プレゼントをあけて。

隣には両親がいて。




「・・なんてな。はは 、まじめに考えてやんの。今の忘れろ」




山田くんはひらひらと手を振って、
角を曲がって見えなくなった。

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作者名:... | 作成日時:2017年12月30日 22時

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