FABRICATION 【Ryosuke.Y】 (ページ29)

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他愛もない話をして、
2人で賑やかな廊下を歩く。

中島くんと歩いてるだけで
世界がキラキラして見えるから不思議。

これが青春か。とかちょっと老けてるなぁ、私。

「ねぇ、お化け屋敷行ってみない？」

「え、」

「体育館でやってる、かなり大掛かりなやつ」

「お化け屋敷 ... 」

「苦手？やめとく？」

「大丈夫！1人じゃなかったら」

本当は凄く苦手。
暗いとこが苦手。
お化けより、暗いところが怖い。

でも中島くんが少年のように目を輝かせているのを見ると、まあいっかなって。

1人じゃないし、手だって .. 繋いでるしね。

「やった！すげー楽しみ！噂によるとかなりのクオリティらしくてさ」

「そうなんだ」

「結構長くて評判いいからさー」

「どんなのなんだろ？お化け屋敷とかあんまり行ったことなくて」

「マジ？もったいねー」

うひゃひゃ！って、テンション高めで
体をそらして楽しそうに笑う中島くん。

私と正反対に明るくて、
元気でアクティブで、

「中島くんは、私のどんなとこ好きになってくれたの？」

「え？それ今聞く？」

「へへっ、ごめんね。なんか聞いてみたくなっちゃって」

「ふはっ、照れるから今は言わない。」

「えー」

「2人っきりになったら言うね」

こんな人、私には勿体ない。

体育館についたら、
受付の人が笑顔で説明してくれる。

体育館広いから、なるべく手を離さないように。
どうしても怖かったらスマホの光、使ってもいいからね、と付け足す。

どうしよう。
今更ながら、かなり緊張してきた。

中島くんが少し躊躇する私を引っ張る。

「やっぱ怖い？」

「ちょっと、ね」

「大丈夫。離さないからさ」

中島くんが繋いでいた手を少し持ち上げて
ニッコリ笑った。

大丈夫だよ、A

優しく言われて、幾分か気持ちが軽くなった。