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■028 ページ28

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「山田くんと、何話してたの?」




何気なく聞いたつもりが、
少しだけ声が震える。

だってあの人何言うか分からないんだもん。

写真、見せてたらどうしよう。
とか、
中島くんに酷いこと言ってたらどうしよう。
とか。

ぐるぐる考えているうちに中島くんが帰ってきて。

いつも通り優しく笑って、
待たせてごめんね
と言う。




「・・内容気になる?」

「えっ ... と。ううん、大丈夫。聞いてみただけ」

「ははっ。大した話してないよ」

「そっか」

「うんうん。あっ、これ美味い!」




中島くんがハンバーグを一口食べて
にへら〜っと幸せそうに目を細めた。

その様子を見て、ちょっと可愛いな。
とか 、思ったりして。

ブーッ、と机の上に置いてあった中島くんのスマホが震える。




「あ、ごめん。ちょっと見ていい?」

「うん。全然いいよ」




スマホを確認して、
中島くんがふと、無表情になった。

どうかしたのかな。

心配になって
大丈夫?
と声をかける。

中島くんは笑って頷いたけど、
スマホを乱暴にポケットに入れて
立ち上がった。




「そろそろ行こっか」

「うん」




何かあったのかな。
なんか、いつもと雰囲気が違うような。




「手、繋ぐ?」

「えっ」




中島くんが振り返って、
私に手を差し出す。

お姫様、お手をどうぞ?

中島くんがまるで王子様みたいな笑顔でそう言った。



手を重ねると、
あったかくて。

大きな手が、私の手を包み込む。

くいっと引っ張られて
中島くんとの距離が縮まった。

見上げると、
優しい顔で私を見る中島くんと目があって
きゅーっと心臓が締め付けられる。



「次、どこ行きますか、お姫様」

「その呼び方、....恥ずかしいからやめてよ」

「ふはっ 、恥ずかしかった?顔真っ赤だもんね」

「からかわないでよ、もう」

「ごめんごめん。 じゃあ 、・・A、って呼んでもいい?」

「っ .... 」




中島くんのその声に、体温に、
さっきからドキドキしっぱなしで。

こくん、と頷くと
中島くんがうれしそうに笑った。

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作者名:... | 作成日時:2017年12月30日 22時

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