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■027 -山田side- ページ27

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引かれた腕を顔を顰めてみていると、
中島が そんな怖い顔しないでよー 、と笑う。

Aは俺が何か話さないか気になるようで
こっちちらちらみてくるし。

中島はさわやかな笑顔を絶やさず
俺に話しかける。




「もてるの、大変だよね」

「はい?」

「さっきから見てたら女子に絡まれて大変そうだったからさ」

「・・別に。なれてる」

「ははっ、そっかそっか」

「で、何」

「いや、とっておきの逃げ道教えてあげようと思って」

「逃げ道?」




中島が悪戯っ子みたいな顔をして声をひそめる。




「ベランダ出て6組の教室前までいったら梯子があってさ」

「梯子?」

「中庭に繋がってんの。そっから降りたら人いないしすげえ楽だよ。俺も結構気持ちわかるからさぁ」




自慢なのかなんなのか
あははって笑って俺の肩をぽんぽんと叩き、

疲れた顔してたからお役に立てればなと思ってね

と言われて、余計なお世話だと言いたくなるのをぐっと抑える。

大きくため息をついて、
教えてくれてどーも
と一応礼を言う。




「・・さっきから君、ずっと山瀬のこと見てるね」

「え?」




眉をひそめて中島を見ると、
中島の目が冷たく光った。




「好きなの?」

「・・好きだよ」




負けじと低い声で答えると、
中島が意外そうに俺をまじまじみた。




「そういうの、正直に言わなさそうなのに」

「そっちこそ、いつもの優等生ヅラどーしたよ」

「はは 、優等生ズラね、なるほど」




中島の唇の端が少し上がって、
俺を見下ろす。

くそ。こいつ背でけーな。
むかつく。




「これだけ言っとく」




中島のくそでけー体を睨みあげる。




「お前が思ってるほどAは単純な奴じゃない」




オとせるとおもってんの?
はっ、ばかじゃね。
お前じゃ無理だよ。




最後に投げ捨てるようにそう言って
教室を後にする。

ただのプライドだよ。

あんな奴に負けたくないって。

あんな奴にAがひっかかるわけないって。

そう思って何が悪い。

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作者名:... | 作成日時:2017年12月30日 22時

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