♭１０８ ページ3
．
丸「… お 思ったよりは… た たいしたことなかったな ハハ… ね、ケ…イ……」
固まった五人の影と
少し離れて座り込んだデクの姿を眺め、マルは隣のＫを見る
Ｋの細い顎から、雫が光って落ちていた
Ｋ「…… いつも … いつもこうだ……」
丸「え？アハ… 泣いてんの？Ｋ…」
Ｋ「… 救えねぇや、オレも……お前もな…」
丸「ふふ… でも、デクよりはましだよ、あんな何も出来ないバ…」
するとマルの口を止めるように、Ｋがその胸ぐらを掴む
Ｋ「てめえがデクのことを言うな… その口で…あいつの何一つ言うんじゃねぇよ！」
その時、パトカーのサイレンが遠くから迫ってきた
丸「わ…わかったよ！ ほらＫ、早く逃げよ？ デクも呼んで…あ〜！ゲームオーバーんなっちゃうじゃん！」
Ｋは首を振り… 更にぐっと両手で マルの服を握りしめた
Ｋ「… ゲームオーバー… じゃねぇ … ゲームなんかじゃ… バカ だ …オレは… 」
近づくサイレン
最後の時が…訪れようとしていた
………
皆の手が…大野の顔を… 体を…ただただ優しくあたためていた
もう…今にも消えてしまいそうな、大切な全てを…
みんなで包んで…見つめ…
それしか出来なかった
．
…何かを伝えようと思っても…
それが…最後を縁取るみたいで…声にはならずに…
すると…ふと、大野の顔がかすかに歪んだ
櫻「…っ…智く…智くんっ！」
わずかに開いた瞼
その中で揺れる瞳が
…櫻井を見た
大『 しょ…く……ごめ…』
もう音を持たない声に、櫻井は頷く
櫻「…うん……いいから… ありが…ありがとな？ほんと…っ… 楽しかったよな！一緒にさ！な？ …ありがと… 本当に…本当にそう思ってっ…から…」
松本もその閉じる視界に乗り出して、手を握りしめる
松「…りぃだぁ… リーダー… 頼むよぉっ……っ おれ…っねぇ！…こんな… ダメだってば…」
大『… マ…ツジュ……ま…まで…だいじょ ぶだ か … が んばれ よ』
その瞳が また動いて…
松本は慌てて相葉の肩を掴んで、押し出した
松「リーダー！ほらここ！いるよ、見えんだろ？」
泣きじゃくって…もうグシャグシャな相葉を見つけて
大野の顔が ふわっとほころんだ
サイレンの音が遠くから響きだした
ラッキーアイテム
革ベルト
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作者名：サハラ
| 作成日時：2011年1月20日 1時
