♭１０６ ページ1
．
デ「も ダメ…ま まにあわな…」
ニ「そんなことないっ!!」
二宮がデクの手から鍵をむしり取った時…
大野の瞳とデクの瞳が
…真っ直ぐに重なった
わずかに首を振って 涙を溜めた大野のその目が…デクの体を自然と動かした
二宮の体を後ろから羽交い締めにするデク
それを見て、大野は思いきり…思いきり腕を振り払い
泣きじゃくる三人の体を突き飛ばして走り出した
デクは弾かれた櫻井と松本の上に、二宮を片腕に抱えて覆いかぶさる
二「ばっ… 離せっ!! 離せや！お…っ 大野さんっっ!!」
櫻「智く…なっ…何して……おいっ、どけよぉっ!!離っ…」
松「リーダーっ!! おいっ…ヤダよっ なあッ!! やめろって!!」
追いかけようとする相葉の腕を…デクのもう一方の腕が、ガッシリと掴んだ
相「ちょっ …やだ、やだ!! こんなのやだっ…!!」
デ「ダメ …い いかせな い」
デクの目からボタボタと落ちる涙が、もがく二宮の髪をぬらしていた
……
Ｋの瞳が…パソコンの画面を映す
残り１０秒になり、走り続ける大野を見つめた
ぼろぼろになって…それでもひたすらに走り続ける姿
噛み締めた唇はいつの間にか震え…
涙が…溢れていた
Ｋ自身がそれに気づき、両手で顔を覆ったその時
《ボオン》……と 音が
…響き渡った…
………
まるで… 夕日に帰るように
光に向かって去っていく大野の姿を
誰もはっきりとは見れなかった
涙で オレンジに滲むその影が
《音》と共に立ち止まり…
…ゆっくりと…
．
…ゆっくりと…
．
地面に倒れていった
．
………
駆け寄ることも…声をあげることさえ出来ないまま
地面に転がった大野の影を
ただ…時が止まったように見つめる四人
顔を伏せたデクの腕は、とっくに離れ
…それでも… 誰も動けずにいた
遠くでは…Ｋも、マルでさえも
起きた現実から置き去りにされたように、立ち尽くしている
．
朱色に染まるグラウンド
静まりかえったその時間を
わずかに動いた大野の影が、変えた
泣きじゃくりながら走り出す四人
その影も
長く伸びて…揺れる
．
ラッキーアイテム
革ベルト
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作者名：サハラ
| 作成日時：2011年1月20日 1時
