旗印戦が終わって14(雪) ページ13
まつside
入学式を取りやめてまで行われた旗印戦は、割と呆気なく、我々栄進クラスの勝利で終わった。
気になるのは、あの"佐藤真奈美"という女子生徒のこと。武石さんにあれだけ殴られていたにもかかわらず、どうしてあんなに笑っていたのか。もはや怖いという感情が心の奥から湧き上がってきて、すぐに振り払う。
大丈夫。怖くなんてない、あんなの。私に怖がる資格なんてない。けど、積極的に関わるのはやめとこう。平和が一番。
なんてことを考えながら、教師の話を聞いていると、私の座る席より後方に向け、先生が声を上げる。びく、とこわばってしまった肩はなかったことにして振り返ると、一人の女性が居眠りをしていたらしく、怒られていた。確か名前は櫛橋霧姫さん…。
なぜかわからないが、何かが引っかかったため、先生が教室から出ていったあと、「櫛橋さん。」と話しかけてみる。
「…何でしょう。」
少しも驚いた様子もなく、無表情の彼女。そういえばさっき先生に怒られていたときも無表情だったな。だからかな、気になったの。
「話すのは初めてだよね。私はまつ。さっきは災難だったね。」
「あなたにそんな事言われる筋合いはないわ。」
ツンと、はねのけられてしまった。私の第一印象はおそらく大失敗。けど、気になった他人にはとことん関わりたいタイプの私。こんなことではめげなかった。
「あは…。私だったら真っ赤になってただろうなって思って。」
「…別に恥ずかしくなかったわけではないですわ。」
フイ、と少しそっぽを向いてそういった櫛橋さん。え、なんか、可愛い。猫みたい…。
少しだけなごんだから、得意な笑顔でグイグイと話しかける。多分、うざいとは思われていなはず!
「この跡調理実習だよね、一緒に行かない?」
「なんであなたと…。」
「じゃあ、私と友達になってくれませんか?こうした移動教室のときに理由なく誘えるお友達に。」
そう言って手を差し出すと、彼女は私の手と顔を見比べた。まるで不可解なものを見るように。正直断られると思っていた。のに、
「………勝手にしたら。」
そう、手を握り返された。すこし、いやかなりびっくりしたけど、そのまま手を引いて彼女を立ち上がらせて、とびきりの笑顔で。
「じゃあ行こう!遅れちゃう!」
呆れた顔をしたように見えた無表情なことが多い彼女が、私の高校での友達第一号になった。
いざ、調理実習!(リョウ)→←旗印戦が終わって 13 (夜宵ノ良)
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あーゆ - リョウさん» ごめんなさい… 。荒らし防止の為に変えました。もし再度編集するのでしたらご連絡ください。 (2022年12月11日 12時) (レス) id: 0982d46986 (このIDを非表示/違反報告)
リョウ - すみません、パスワードって変わりましたか?今までのパスを入力しても、間違っているということになって編集できないのですが……。 (2022年12月11日 9時) (レス) @page45 id: c77ecc330e (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊ふゆう - 更新失礼しました! (2022年12月10日 22時) (レス) id: a30ccd45c8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピピのピ - 更新失礼しました! (2022年12月10日 19時) (レス) id: dd7f2196ba (このIDを非表示/違反報告)
リョウ - 更新失礼致しました! (2022年12月10日 17時) (レス) @page46 id: 2a987646b1 (このIDを非表示/違反報告)
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