【合作企画】我ら空木高校栄進クラス！！２【募集中】

. ページ42

「お、もう準備が終わったか...流石直政じゃな。じゃあ暗記時間を始める。タイマーはセットしておくから暗記時間内は好きに過ごせ。終了になっても帰ってこなかったら勝手に始めるからな。」


直虎はそういうと札とにらめっこを始める。直政も無駄だと言うような表情を浮かべつつも直虎と同じように札に向かう。

最後の2分間。
直虎は素振りを始める。直虎は基本的にこの素振りの時間で自陣の札の位置を整理する。それ故に直政は直虎の邪魔にならないようにと畳から離れて札の位置確認をする。

そしてタイマーが鳴る。
暗記時間は終了。

直虎と直政は互いに礼をし、スマホの音源をかける。


＝難波津に 咲くやこの花 冬籠り 今を春べと 咲くやこの花＝


梅を詠った序歌が響き、直虎はふっと集中力を高める。
教室はすっかり静かになって、耳鳴りがしてきそうなほどだった。

最初の一音が響き渡る。


＝は＝


直虎の手が直政の陣の「花誘ふ」の札へと伸びる。

”な”の後に”さ”の半音が聞こえると共に直政の陣にあった「花誘ふ」の札が吹き飛ばされる。
直虎の指が、同じく「花誘ふ」の札に手を伸ばそうとした直政の手を掠った。


(あいつ、相変わらず自分の戻り手の腕と耳に甘えてやがる。お手つきなんて怖くねぇって顔してんのが一番怖ぇ...というか俺がナメられてんのか。俺との対戦でお手つきしても問題ねぇってか?
”はるの”が自陣にあって”はなの”と”はるす”が空札なのに”は”の時点で”はなさ”にいくとかどんだけ俺のこと舐めてんだアイツ)


直政は札を拾う直虎の背を見ながら心の中で毒づいた。


そこから暫く経ち、そろそろ他のメンバーも戻ってくるであろう頃には三戦目が始まろうとしていた。

足音で音が聞こえづらくなり集中できなくなった直虎は「これでしまいじゃ」、と次に詠まれた「夕されば」と友札である「由良の門を」の二枚を見事な渡り手で払い、音源を止めた。

一戦目は直虎が24枚差で勝利、二戦目も直虎が21枚差で勝利、三戦目が中断という結果となった。

いざ尋常に勝負! 2 (おおさじ)→←いざ尋常に勝負! (麗鳴)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す