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旗印の季節14 (珠奈) ページ30

「この学校、なんでこんなに喧嘩っ早い人が多いんだろ…」

まぁ、アタシも似たようなモンだけど。心の中でこっそりと付け足した。

武石さんは講堂に、大祝さんは二階に、上杉さんも何処かへ行ってしまった。きっと3人とも他クラス相手に戦っているのだろう。

「はてさて、どうしたものかねぇ。」

栄進クラスのメンバーがそう簡単にやられるとは思えないが、誰が襲われるかわからない状況は、こちらにとっても分が悪い。しかも、廊下の方から段々と近づいてくる女子生徒の怒号を聞く限り、相手は一人ではなさそうだ。自分も標的となる可能性がある以上、対抗手段は欲しいところ。

(薙刀…は持って来てないな。肌見放さず持っておくべきだったか。)

何か武器になるもの、それも使い慣れた薙刀に近い形状のものはないか、と考えを巡らせる。そして、おもむろに立ち上がり、掃除用具入れから床を掃くためのT字ぼうきを取り出した。柄の長さは……十分。

「せいやッ」

気合とともに、ほうきのブラシ部分を曲げた膝に叩きつけ、へし折る。ボキン、と鈍い音がして、ブラシが床を転がった。

(……あ、これ弁償案件かも。)

軽く握り、構えてみるなどして、動作を確認する。

「うん、なにもないよりはマシ。」

重さ、長さ、すっかり手に馴染んだ愛用の薙刀とは比べ物にもならないが、これさえあれば、少なくとも防御の面では困らないはず。それでもどうしようもなかったら…そのときはそのときだ。

「2時間耐えればアタシらの勝ち、だもんな。」

残ったアタシが今やるべきことは、相手を策を練っている安藤さんと櫛橋さんに、近づけさせないこと。清正(アイツ)と戦ったときに比べれば、制限時間付き、誰一人欠けることがなければ良しの今回はずいぶんと楽なものだ。

二人がいる和室の前に待機すると、案の定ジャージに見を包んだ生徒たちがやって来る。

「来な、三下。」

襲いかかってきた生徒相手に、足払いをお見舞いしてやる。そして、よろめいた一瞬の隙をついて、即席の武器もといほうきの柄を、ジャージの生徒目掛けて振り下ろす。

入学前に立てた『おしとやかな女の子計画』はすっかり頭のなかから吹き飛んでいた。

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珠奈(プロフ) - 更新いたしました。 (2022年11月17日 16時) (レス) id: 570e8cf367 (このIDを非表示/違反報告)
リョウ - 更新致しました。 (2022年11月17日 11時) (レス) id: 5a84eaf6bf (このIDを非表示/違反報告)
ピピピのピ - 更新させていただきました!! (2022年11月17日 7時) (レス) id: dd7f2196ba (このIDを非表示/違反報告)
夜宵ノ良(プロフ) - 更新させていただきました! (2022年11月15日 19時) (レス) id: 271a44bab7 (このIDを非表示/違反報告)
TENN - 更新させて頂きました (2022年11月14日 17時) (レス) @page40 id: 56fa1dd384 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーゆ(主催者) | 作者ホームページ:http  
作成日時:2022年11月3日 17時

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