原因はただの恋煩いです【斉木楠雄のψ難】 (ページ3)

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つまりは、そういう事。ページ3

(うわぁ！目が合っちゃった…。
　咄嗟に逸らしちゃったけど、
　僕、どうしたらいいんだろう！？
　話しかけたらまた無視されちゃうかな)

まず、逸らすことをやめろ。
その行為が誤解を生むことが
分からんのか。

一方、雛鶴さんは海藤と目が合った姿勢の
まま固まってしまっている。

(……どうしよう…、やっぱり言いすぎ
　ちゃったよね？私ってカッてすると
　なぁ…。ごめんなさい…)

頭を押さえる雛鶴さんの声だ。

こちらも後悔しているようだ。

きっかけさえ
与えればすぐに元に戻るだろう。

(パンピーはこういう時、どうするの！？
　やっぱり、スケバンの時みたいに
　殴り合えばいいの？)

やめろ。間違えなく病院送りだ。海藤が。
　

やれやれ、ネガティブ思考のループというのは気が滅入る。

このままだとこちらの精神の衛生が危ぶまれてしまう。仕方がない、手を貸してやろう。

「海藤。この教材を職員室まで持ってきてくれ」

チャイムが鳴り終えて雑談が始まる中
教師がそう告げた。
指差す先にあるのは教材が入ったダンボールだ。

「何故、俺がそんなことをしなければならない」

「日直だからだ。といってもお前は極度の軟弱体質だからな。ええと手伝いに……」

さらっと酷いことを言うな。
心中で呟きつつ僕は教師へテレパシーを送った。

……雛鶴

「……雛鶴、頼んだぞ」

刷り込み完了。きっかけは与えてやった。あとは自分でなんとかしろよ、海藤。

「俺、一人で充分だ。余計な真似をするな」
(僕の馬鹿！また強がりを言って。せっかくのチャンスだったのに)

本当だよ。

(あの時だってそうだ。僕があんなこと
　したから…)

まったく、面倒臭いな。
手を貸した以上、途中で辞めることは
出来ない。

こうなったら、意地でも仲直りさせてやる。