黒幕 ページ29
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『ごめんなさい。3対1なんて大人気ないことをしてしまいましたね』
穴が空いてすっかりボロボロになったスポーツウェアのホコリを払いながら、私は野薔薇ちゃんに身動きを奪われている彼女の元へ一歩近付いた。
心底憎たらしいと言わんばかりに、鋭い眼差しがこちらに向けられている。
「……こんなことで勝ったつもりになってるなら、後で痛い目見るわよ？」
『思ってませんよ、そんなこと。勝敗をつけるならもっと相応しい場があることも心得ています』
彼女の言う通り、私達に軍杯が上がるほど褒められたような流れではなかった。
最も彼女の術式の前で私と野薔薇ちゃんに決定的な有効打があったわけでもない。
私が反転術式をそれなりに習得できていなければ、加えて真希ちゃんが来ていなかったら。きっと未来はいくらでも変えることができただろう。
ただ、例えそうなったとしても素直に負けを認めるかはまた別の話である。
『私、人を傷付けるのは得意じゃありません。術師としても人間としても、まだまだ未熟だから。だから私は私なりに、できることを探していこうと思っています』
「……何が言いたいのよ」
向けられる視線に、ギチッと奥歯を鳴らす。
そのまま、私は地べた近くにある彼女の整った顔をじっとりと見下ろした。
……ぬるりとした風が、頬を撫でる。
『そんな未熟な私でもね、刺激されると弱いんです……だから私のこと、あまり怒らせない方がいいですよ』
「何……それで私を脅したつもり？」
『そうですね、脅しと言うよりは忠告です。私の後ろに居るのは紛れもない、あなたの嫌いな“人外”だということを理解しておいて欲しかったので』
私の言葉を聞いた瞬間、彼女の嘲た表情が一瞬にして曇るのが見えた。
あそこまで弟をボロクソに言われておいて、黙っている姉がどこにいると。
確かに私や悠仁の力は紛れもない「両面宿儺」のもので、それを宿している私達が傍から見て異質であることは確かだ。
だが少なくともそれだけの理由で無慈悲にも命を奪われることが正しい事とは限らない。
『まあ……生かすも殺すも、所詮はそちらの勝手でしょうがね』
フィクサーは、私のこんな言葉すらも子供の戯言だと嘲笑っているだろう。
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さくら(プロフ) - 今日一気読みしましたぁ✨続き気になるぅ〜😭もう作者様のファンになりました私！！話好きすぎる…🥺いつでもまってます！！ (8月15日 0時) (
レス) id: b75e9c1e96 (このIDを非表示/違反報告)
おむすび(プロフ) - 本当にこの話大好きです！更新待ってます！ (8月11日 23時) (レス) @page33 id: 5b99419290 (このIDを非表示/違反報告)
Nyamyu(プロフ) - 更新もっとほちぃっす… (7月27日 5時) (レス) id: 6b9d2f667c (このIDを非表示/違反報告)
D - めっちゃ読みやすいです。小説の書き方、スッゴイ好きです！つい夜更かししてしまうほど全て読んでしまいました。更新、お待ちしています。無理なさらない程度で！ (2023年4月9日 11時) (レス) id: e1459171f3 (このIDを非表示/違反報告)
いか焼き - 忙しい中でもこんなに更新してくださっている…！（泣）ありがとうございます！！人気の作品って突然更新停止してる奴が多いのでめっちゃ嬉しいです…！無理しない程度で更新してください！全然こっちは待つので！！お身体にはお気をつけて下さい！！！！！ (2022年7月4日 3時) (レス) @page21 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀛 | 作成日時：2022年2月27日 13時
