囮 ページ28
No,side.
「……呪術師続けるなら、喧嘩売る相手は選ぶことね」
クスクスという軽い笑い声と共に、金属音が辺りに響く。
真衣は横たわる二人の姿を嘲笑うかのごとく、再び持っていた拳銃の引き金に手をかけた。
「ウチのパシリに何してんだよ、真衣」
「……あら、落ちこぼれすぎて気付かなかったわ。真希」
辺りの静寂と共に真衣の余裕を欠いたのは、彼女の双子の姉である真希だった。
共に禪院の名を継ぎ生まれてきた二人だが、似ているのは顔立ちの雰囲気だけ。
この姉妹の間にできた確執は、この数年間でより一層深くなっていた。
「落ちこぼれはお互い様だろう?お前だって物に呪力を込めるばっかりで、術式もクソもねえじゃねーか」
「呪力が無いよりマシよ。上ばかり見てると首が痛くなるから、たまにはこうして下を見ないとね」
「あーあ、やめやめ。底辺同士でみっともね。……立てるか、お前ら」
「無理よ、しばらく起きないわ。それなりに痛めつけたも……」
しばらく淡々と話していた二人だったが、真希が真衣に向け武器を突き付けたことで再び静寂が訪れる。
真衣の顔から、先程まで浮かべていた薄ら笑みが消えた。
「何。やる気?……ッ!!」
しかし次の瞬間、彼女の背後から伸びてきた細い腕がしっかりと首を固め捕らえたのだ。
してやったりとしたり顔をしながら満足そうに笑うのは、先程まで床で伸びていたはずの釘崎だった。
「ナイスサポート真希さん!おろしたてのジャージにバカスカ穴開けやがって。テメェのその制服置いてけよッ、私の夏服にしてやる!!」
「ッ……次は体の穴増やしてやるわよ。あと、この足の長さじゃこれは着れないんじゃないッ……!」
「……落とすッ!!!」
またも煽りに乗った釘崎が真衣に絡み付いているその横で、もぞもぞと起き上がる人影が一つ。
彼女のジャージにもまた複数の穴が空いており、見るも無惨な様である。
「良くやったな、A。ケガは無いか?」
『うん、大丈夫。まきちゃんこそ来てくれて助かったよ』
Aは軽い足取りで立ち上がると、服についた汚れをパンパンと軽く払った。
ジャージこそホコリだらけだが、体に目立った外傷は無い。それもそのはずである。
「反転術式。使いこなせるようになってきたみたいだな」
『まあ、それなりにね』
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さくら(プロフ) - 今日一気読みしましたぁ✨続き気になるぅ〜😭もう作者様のファンになりました私!!話好きすぎる…🥺いつでもまってます!! (8月15日 0時) (レス) id: b75e9c1e96 (このIDを非表示/違反報告)
おむすび(プロフ) - 本当にこの話大好きです!更新待ってます! (8月11日 23時) (レス) @page33 id: 5b99419290 (このIDを非表示/違反報告)
Nyamyu(プロフ) - 更新もっとほちぃっす… (7月27日 5時) (レス) id: 6b9d2f667c (このIDを非表示/違反報告)
D - めっちゃ読みやすいです。小説の書き方、スッゴイ好きです!つい夜更かししてしまうほど全て読んでしまいました。更新、お待ちしています。無理なさらない程度で! (2023年4月9日 11時) (レス) id: e1459171f3 (このIDを非表示/違反報告)
いか焼き - 忙しい中でもこんなに更新してくださっている…!(泣)ありがとうございます!!人気の作品って突然更新停止してる奴が多いのでめっちゃ嬉しいです…!無理しない程度で更新してください!全然こっちは待つので!!お身体にはお気をつけて下さい!!!!! (2022年7月4日 3時) (レス) @page21 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀛 | 作成日時:2022年2月27日 13時