記憶 ページ14
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……暗闇の中。ぼんやりと霞む私の視界に、一筋の青白い光だけが輝いている様に見える。
まるで夢と現実の
『(ここは、どこ？確かあの時、意識を失って)』
……って、あれ？あの時って、いつのことだっけ。
モヤのかかる記憶を思い出そうと頭を抱えても、見えてくるのは私を導くかのように照らされている、一筋の光だけ。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ああ……いや、違う。
これは、月明かりだ。朧げに曇天の闇夜を照らす、いつかの月の導き。
なぜだろう。私はこの冷たさを、知っている気がする。
「……何者だ」
私がそれを知覚した時、辺りを包んでいた闇が薄くなると同時に、私の目に飛び込んできたのは朧月夜に潜む一人の影。
そしてその影に向けられたのだろう低い声に、私は聞き覚えがあった。
「……不愉快だッ。来るなら早くしろ」
『(！……やっぱり、この声あいつのッ)』
私がこの世で一番嫌いな、低くて不気味で、禍々しい声。
忘れるはずが無い。今私の耳に届いているこの声は、両面宿儺のものだ。
しかしどこを見渡してもあいつの姿だけは見えず、そうこうしているうちに目の前で薄らと揺らぐ人影がこちらに近付いてきた。
「……近頃、都を騒がせているという呪詛師とはお前のことか」
不意に響いてきたのは、あいつとは対照的な高く凛とした声。
それは本来水を表すような「澄んでいる」という表現が的確な程に、美しい声だと思った。
未だ鮮明に見えないその人は、真っ直ぐに伸びた長い髪を夜風になびかせている。
朧月夜にも映える、艶美で妖しい
「天災……いや、違うな。“呪いの王”とでも呼ぶことにしよう。なあ、両面宿儺よ」
白き狩衣をまとった人影は、こちらに向けて確かな言葉を紡ぐ。
私は混乱する頭を他所に、もう一度目の前の人影へと視線を戻した。
ご丁寧にもその顔は不鮮明で、相手がどんな顔をしているのかまでは分からない。
そして、まるで夢のようにぼんやりとしながらも、それと両立するように現実味を帯びた世界。
……ああそうか、そういうことか。
私が今見ているこの景色は全て、両面宿儺と呼ばれた男が見てきた、過去の記憶なんだ。
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さくら(プロフ) - 今日一気読みしましたぁ✨続き気になるぅ〜😭もう作者様のファンになりました私！！話好きすぎる…🥺いつでもまってます！！ (8月15日 0時) (
レス) id: b75e9c1e96 (このIDを非表示/違反報告)
おむすび(プロフ) - 本当にこの話大好きです！更新待ってます！ (8月11日 23時) (レス) @page33 id: 5b99419290 (このIDを非表示/違反報告)
Nyamyu(プロフ) - 更新もっとほちぃっす… (7月27日 5時) (レス) id: 6b9d2f667c (このIDを非表示/違反報告)
D - めっちゃ読みやすいです。小説の書き方、スッゴイ好きです！つい夜更かししてしまうほど全て読んでしまいました。更新、お待ちしています。無理なさらない程度で！ (2023年4月9日 11時) (レス) id: e1459171f3 (このIDを非表示/違反報告)
いか焼き - 忙しい中でもこんなに更新してくださっている…！（泣）ありがとうございます！！人気の作品って突然更新停止してる奴が多いのでめっちゃ嬉しいです…！無理しない程度で更新してください！全然こっちは待つので！！お身体にはお気をつけて下さい！！！！！ (2022年7月4日 3時) (レス) @page21 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀛 | 作成日時：2022年2月27日 13時
