指先と生け贄〈参〉【両面宿儺】

条件 ページ2

No,side.











「1つ目は、呪術師最強と言われる男・五条悟を戦闘不能にすること。2つ目、両面宿儺・虎杖悠仁を仲間に引き込むこと」


「……ちょっと待て、死んだのであろう？その虎杖悠仁という餓鬼は」






二本の指を立てながら淡々と言葉を紡いでいく男に向けて、一つ目の呪いは訝しげに首を傾げる。


英集少年院での出来事は既に、ここに居る呪霊達の耳にも届いていた。

何より僧衣を身に纏うこの男こそが、先の情報の仕入れ人だからだ。






「……そこで提示するのが、3つ目の条件。両面宿儺最後の切り札である特異点・虎杖Aの覚醒を促すこと」






男はいやらしく口角を上げながら、三本目の指を立てた。




……両面宿儺の器は死んだ。それは紛れもない事実である。


しかし、それが何らかの理由で蘇るとすれば、この世の秩序は再び大きく乱れることになるだろう。






「どうやら宿儺は、彼女に随分と入れ込んでいるらしい」


「高々人間の小娘風情に、それ程までの技量があると言うのか」


「……だからこそ、虎杖Aは特別なんだ」






存在自体が未知であるが故に、誰もその成長を予期することができないのが「虎杖A」唯一の短所だ。


そして現在その確信に触れているのは、彼女の内に巣食う両面宿儺の呪力だけ。







「彼女が両面宿儺の呪力を真に使いこなすことができるようになれば、より確実に世界の在り方を変えることができる……無論、君達の理想に向けてね」


「それは本当かッ……！」


「ああ、もちろん」






その胡散臭い笑みの裏側に、男はある一つの仮説を隠している。



一体彼女は何者で、何をするためにこの世に生まれてきたのか。

なぜ彼女の呪力はそれ程までに少なく、受け止めるための器だけが膨大に与えられているのか。




……そして何故(なにゆえ)に、宿儺は虎杖Aを選んだのか。






「‪さて……面白くなりそうだ」






世界が渇望する変革までの時は、刻一刻と近付いている。







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