入道 ページ30
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『はあ、疲れた……』
芝生の上へと身を任せ、生暖かい風がべたついた体を包むのを待つ。
狗巻くんとの手合わせを終えて疲れきった体は、ここから動くのを拒んでいるように重だるく感じる。
「はい、水。動いた後は水分補給ね」
『あ……態々ありがとうございます』
五条先生から差し出されたペットボトルを受け取り、私はまだ冷たいそれを火照る頬にくっつけた。
ひんやりとした心地良さが、体の熱を奪っていくような感覚が襲う。
寝転がったまま空を仰げば、そこには雄大に広がる青の中に立ち昇る入道雲が浮かんでおり、季節の移り変わりを知らせていた。
……今年の夏も、じいちゃんと迎えられると信じていたあの頃が懐かしい。
「ツナツナ」
『空、綺麗だね……もう7月だよ』
私と一緒になって寝転んでいた狗巻くんが指さす雲を眺めながら、月日の流れを未練たらしく思う。
失うことは悲しいことだ。それでも、じいちゃんの死は私にたくさんの出会いをくれた。
最期まで私に色々なものを与え続けてくれたじいちゃんのことを、この先もきっと忘れることなんてできないだろう。
……少なくとも私はずっと、そう願っていたい。
「感傷に浸ってるところ申し訳ないんだけどさ、君達に一つ頼み事をしても良い？」
そんな私の静かな心根を断ち切ったのは、どこか口惜しそうにしながら言った五条先生の声だった。
先生は寝転ぶ私達の上から、こちらを見下ろすようにして覗き込んでくる。
『……頼み事、ですか。面倒なのはいやなんですけど』
「しゃけ」
「大丈夫だよ、よくある案件だから」
私達の言葉に先生は軽い口調で言うと、ポケットの中から折り畳まれた一枚の紙切れを取り出し、それを私に差し出した。
何だろうと気になり広げてみると、そこには日時や証言、いくつかの被害についての参考がずらりと書かれている。
『……これは？』
「今回僕に回ってきた仕事の資料コピったやつ。今の季節は呪いも多くて大変でね」
『いや、それは知ってますけど……まさか先生、今とんでもないこと考えてます？』
「やめてよ、人聞きの悪い。僕はただ、君達にちょっとした課題を出してあげようと思ってるだけだよ」
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いか焼き - さ い こ お です！この話マジですこ… (2022年7月4日 2時) (
レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
すみれちゃん - 続編決定…!ありがとうございます泣 (2022年2月27日 1時) (レス) @page50 id: 1871179020 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - タイトルに目を惹かれ読んでみたらめちゃくちゃ面白かったです……！今後どうなるかとても楽しみ……！更新頑張ってください！！ (2022年2月8日 7時) (レス) id: 382d4af167 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ - 更新してくださる事が嬉しいですっ！これからも、作者さんのペースで頑張って下さい！ (2022年2月3日 23時) (レス) @page27 id: 690aee62a7 (このIDを非表示/違反報告)
mithukoaaa0306(プロフ) - 面白すぎて一気に読んでしまいました！ (2022年1月30日 2時) (レス) @page8 id: 96b8b42efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀛 | 作成日時：2022年1月29日 15時
