ツカモト ページ16
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目の前の机の上にドサドサと置かれていくのは、見たこともない海外映画のDVD。
そして、その奥に目をやれば大きめの液晶テレビが用意されている。
「今日からAは、他の二年生達とは別行動ね」
『えー、せっかく仲良くなれたのに……』
「はいはい、駄々こねない。午前中はここで呪力コントロールの練習、午後は硝子のところで反転術式の基礎を学び、放課後は学長直々に体術の稽古をつけてもらうから、覚悟しといてよ」
『ハードスケジュールすぎませんか!?』
放課後まで使った超詰め込みスケジュールに、私はがっくりと項垂れる。
しかし、これも呪術師になるために必要なことだ。
もちろん、力が欲しいと言ったのは私。先生達はその意向に沿ったカリキュラムを用意してくれていると思って頑張らなければいけない。
「てことで、君には今から映画鑑賞をしてもらいます」
『映画鑑賞……薄々勘づいてはいたけど、なんの意味があるんですか?』
「もちろんただ映画を観るだけじゃない。コイツと一緒に観るんだ」
そう言って先生が取り出したのは、ボクシンググローブをつけた腕の長いクマのぬいぐるみ。
なんというか、素直に可愛いと呼べる感じの見た目でもない。俗に言うキモカワってやつ。
鼻ちょうちんを出して呑気に寝ているそれを受け取った私は、再度クエスチョンを頭の中に浮かべた。
『何この、絶妙な感じのテディベア』
「それは学長お手製の呪骸だよ。ここに揃ってる映画は、名作からマイナー作品までよりどりみどり。これを観ながらどんなに感情を昂らせようと、この呪骸に一定の呪力を流し続けてもらう」
五条先生の説明を聞きながら、私は手に持っていた呪骸を握ったり、動かしてみたり手悪さをして遊んでみる。
肌触りはちょうど良い感じだ。硬すぎず、柔らかすぎず。
小さい子が抱きしめて寝るにはちょうど良いくらい。
_______なんて思ったのも束の間だった。
「ちなみに、少しでも呪力が乱れると……」
そんな五条先生の声が聞こえた瞬間、クマの鼻ちょうちんがパチンと割れて、その長い腕についたボクシンググローブが私のみぞおちを直撃した。
あまりの衝撃に一瞬何が起こったのか分からなくなり、私の頭の思考は完全に停止する。
「今みたいにぶん殴ってくるから、気を付けてね」
『もっと早く言えやッ!!』
こうして、私の訓練は幕を開けたのだ。
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いか焼き - さ い こ お です!この話マジですこ… (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
すみれちゃん - 続編決定…!ありがとうございます泣 (2022年2月27日 1時) (レス) @page50 id: 1871179020 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - タイトルに目を惹かれ読んでみたらめちゃくちゃ面白かったです……!今後どうなるかとても楽しみ……!更新頑張ってください!! (2022年2月8日 7時) (レス) id: 382d4af167 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ - 更新してくださる事が嬉しいですっ!これからも、作者さんのペースで頑張って下さい! (2022年2月3日 23時) (レス) @page27 id: 690aee62a7 (このIDを非表示/違反報告)
mithukoaaa0306(プロフ) - 面白すぎて一気に読んでしまいました! (2022年1月30日 2時) (レス) @page8 id: 96b8b42efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀛 | 作成日時:2022年1月29日 15時