検索窓
今日:9 hit、昨日:46 hit、合計:430,414 hit

プラス ページ15

·









「呪力が人の負の感情から増幅することは、Aも知っている通り。本来呪力とは、マイナスな力のことを指す」






五条先生の言葉に、私は数回ほどを目をぱちくりと瞬きさせる。


それはここ数日の間に、パンダくんから耳が腐るほど聞いた。

呪術師はそのマイナスの力を使って、呪いに立ち向かっていくのだと。






「でも、マイナスは掛け合わせることでプラスにすることもできる。簡単に言えば、これが反転術式の礎さ」






淡々と言葉を紡ぐ先生を横目に、完全についていけていない脳をフル回転させる。


……つまり、先生が言いたいのは「(−)×(−)=+」ということなんだろう。

数学はあまり得意ではないけど、たぶん置き換えればこういう話だ。






「負の力同士を掛け合わせることにより生まれた正の力は、通常ならばなし得ない真逆の効果……“治癒”を可能にするんだ」


『治癒……?』


「まあ、Aの場合それを狙ってやってないんだから凄いよね」






そう言ってけらけらと笑った五条先生を、私はただ見つめることしかできなかった。


反転術式……治癒の力か。なんでこんな簡単に使えるようになったのかは分からないけれど、思わぬ収穫を得た気がする。

とは言え、それも使い方が分からなければ意味が無い。







『でも、なんでいきなり反転術式なんか使えるようになったんでしょうか。特にこれといったことはやってない気がするんですけど……』


「きっと感情を抑えるっていう意識が、変な方向に逸れたんだろう。どちらにせよ反転術式は誰にでもできるわけじゃないし、凄いことには変わりないよ」






そのまま先生にぐしゃぐしゃと頭を撫でられ、整えたはずの私の髪は一瞬にしてボサボサになる。


女子からしたら迷惑だし、あからさまな子供扱いは嫌だけど、払い除けるほどでもないと思っている自分が居るのも事実だ。


私は前に立ちこちらを見下ろす先生を見上げながら、自分の手を彼の目の前に伸ばす。






『治癒ということは……私の力で、他人を助けることができるということですか?』


「まあ、鍛錬によってはね……かなりキツいとは思うけど、君なら受けるだろう?」


『……ええ、もちろん。宿儺の呪力は、全部ものにしてやると決めたので』


「ん、良い答えだ」






私の揺るがない言葉を聞いた五条先生は、いつも通りの愉快げな笑みをこぼしながら再び私の頭を乱雑に撫でた。







·

ツカモト→←正解



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (435 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1449人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

いか焼き - さ い こ お です!この話マジですこ… (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
すみれちゃん - 続編決定…!ありがとうございます泣 (2022年2月27日 1時) (レス) @page50 id: 1871179020 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - タイトルに目を惹かれ読んでみたらめちゃくちゃ面白かったです……!今後どうなるかとても楽しみ……!更新頑張ってください!! (2022年2月8日 7時) (レス) id: 382d4af167 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ - 更新してくださる事が嬉しいですっ!これからも、作者さんのペースで頑張って下さい! (2022年2月3日 23時) (レス) @page27 id: 690aee62a7 (このIDを非表示/違反報告)
mithukoaaa0306(プロフ) - 面白すぎて一気に読んでしまいました! (2022年1月30日 2時) (レス) @page8 id: 96b8b42efc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2022年1月29日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。