揺らぐ ページ1
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開け広げられた窓の外から、まだ少し肌寒い夜風が舞い込んでくる。
未だ物の少ない殺風景な部屋の中、私は昼間と同様ベッドのふちに腰かけながらスマホの画面を適当にスクロールしていた。
静かな夜は私の心を落ち着けると同時に、ほんの僅かな虚しさを植え付けていく。
『……ねえ、聞こえてるんでしょ』
そんな虚ろを断ち切るように、私は小さく唇を動かし空に問いかける。
私の言葉にあいつが反応しなくたって、別にどうでも良かった。
ただ迷うほどなら、何をしたって引き裂けない運命の鎖に少しでも明確な傷を付けたいと思っただけ。
『答えなくても良いの、端からあんたにそんな期待してないし』
案の定、頭の中にあの気味の悪い声が聞こえてくることはない。
どこで何をしているのかは知らないが、きっとアイツはちっぽけな私の背中を見て笑っていることだろう。
でもそれを思い浮かべるだけで、私は
『でも、これだけは言っておく……私の体は、私のものよ。だからあんたに好き勝手させるつもりはないから』
私という存在の主導権は、あくまで私にある。
向こうがそれを否定したところで、私はその手網を奪い取るだけだ。
これ以上好き放題されないように必ず強くなって、コイツの力をものにしてやる。
私は宣戦布告の意を込めて、握った拳を自身の胸骨に打ち付ける。
……トンッと重たい振動が、骨の髄まで響き渡った。
《ふむ……やはり分からんな。オマエは
『……は？』
不意に聞こえてきたアイツの声は、微かな疑問を抱いたような煮え切らない言葉だった。
私はその意味の分からない問いかけに、自然と呆気のないこえをもらす。
『なぜって、私が私だからに決まってるでしょ』
《違う、それは肉体の話だ。全く、少しは見込みのある女になってきたかと思えばこれか。俺に啖呵を切る前に、オマエはもう少し柔軟になれ》
……そんなアイツの声が聞こえた瞬間、ぐらりと視界が揺らいだのが分かった。
逆らえない意識の遠離に、私の体はゆっくりとベッドの上に倒れていく。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿“着いて来い、小娘”
私を呼ぶその声を最後に、辺りは真っ暗闇に包まれた。
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いか焼き - さ い こ お です！この話マジですこ… (2022年7月4日 2時) (
レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
すみれちゃん - 続編決定…!ありがとうございます泣 (2022年2月27日 1時) (レス) @page50 id: 1871179020 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - タイトルに目を惹かれ読んでみたらめちゃくちゃ面白かったです……！今後どうなるかとても楽しみ……！更新頑張ってください！！ (2022年2月8日 7時) (レス) id: 382d4af167 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ - 更新してくださる事が嬉しいですっ！これからも、作者さんのペースで頑張って下さい！ (2022年2月3日 23時) (レス) @page27 id: 690aee62a7 (このIDを非表示/違反報告)
mithukoaaa0306(プロフ) - 面白すぎて一気に読んでしまいました！ (2022年1月30日 2時) (レス) @page8 id: 96b8b42efc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀛 | 作成日時：2022年1月29日 15時
