捌 ページ10
少し癖のある黒髪に、まつ毛の長い大きな目。
それに似つかわしいはっきりとした凛々しい眉毛は、ぶっきらぼうな眉間のシワと共に真ん中に寄せられている。
その顔立ちは男性的とも女性的ともとれるような雰囲気で、俗に言う伊達男とはこういう人のことをいうのだろう。私は混乱する頭を抱えながらも、ぼんやりとそんなことを思った。
「ちょっと待て、俺はその話に乗るなんて一言も……!」
「何を悠長なこと言っとんるや。お前ももういい歳なんやから、少しは考えんといかんよ」
……なんだか、私の知らないところでどんどん話が進んでいっているような気がする。
それに加えて、あの男性の声になぜだか聞き覚えがあるように感じた。里の人は普段からお面をつけているから、もしかしたら知らないうちにすれ違っていたのだろうかとも考えたのだが、どうやら見れば見るほどそういう訳ではないようで。
黄褐色に染められた派手な柄の羽織に、無骨な手に握られている豆絞りの手ぬぐい。そして、なんだか不機嫌そうな声色。
『あ、の……もしかして、あなたは先程の?』
私がそう声をかけると、男性の動きが明らかに鈍くなったのが分かった。
一瞬驚いたように肩を震わせてから、ギクシャクとした動きでこちらから目線を逸らすその動き。
お面こそつけていないがさきほど坂道で出会った人と全く同じ反応だ。
「おや、Aさん気づいとらんかった?」
『……え、ええ。お会いした時とは、随分雰囲気が違ったので』
「まあそうやろう。この子は性格こそ気難しいが、それなりに可愛い顔しとる。さっきは蛍が迷惑かけたみたいやけど、堪忍したってや」
鉄珍様の言葉にますます固まってしまった彼の反応を見ながら、やっぱりどこか子供らしい人なのだなと再確認する。
その姿には「ほたる」という可愛らしい名前がよく似合っていて、いつしか私の緊張も自然と和らいでいた。
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雨と雫(プロフ) - あゝもう文才が神ですね!?更新頑張ってください!個人的に夢主ちゃん可愛いな (7月1日 19時) (レス) @page6 id: 312a1378ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀛 | 作成日時:2023年7月1日 16時