蛍の花嫁【鬼滅の刃】 (ページ23)

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弐拾壱ページ23

「……お前、歳の割に随分達観した奴だな」

しばらくの沈黙の後、鋼鐵塚さんは私の言葉に対してそんなことを言った。

なんだかんだであっという間に二十一年も生きてきたわけだが、自分のことをそんなふうに思ったことは一度もない。

「お前くらいの年頃の娘は、もっとたわいもないことを話すもんだろ」

『そう、なんですか？……よく分かりませんが、数年前まで面倒を見てくれていた恩人が硬派な方だったので、それに影響されたのかもしれませんね』

私の恩人でもあり、憧れでもある師。あの人は口癖が「南無阿弥陀仏」であるように、もっぱら私にも慈悲深く、堅実な精神で向き合ってくれた。

だからこそ、彼の人柄が弟子である私にまで現れていてもおかしくないはずだ。

『……とは言え、これでも昔はお転婆な娘だって両親からよく叱られていたんですよ。あれをするな、これをするなってなんでも口出されてばかりでしたから』

許嫁だった幼馴染と歳が近かったこともあるが、昔から家の中で過ごすより、外で活発に動く方が好きだった。だから剣術の稽古も、さほど苦にならなかったのだろう。

幼い頃から好奇心が普通の子供より旺盛だったためか、父と母は私の子育てに酷く手を妬いてたように思う。

もちろん、鬼と出会ってからはその性格もだいぶ落ち着き、物事を冷静に判断する癖もついてきたのだが。

『あ……ごめんなさい、私ったらつまらない話を長々と語ってしまって』

なんだか自分ばかり話を広げている状況に気がついた私は、慌てて鋼鐵塚さんに向け頭を下げる。

昔を思い出したせいで、余計なことまで喋りすぎてしまったことに酷く恥ずかしさを感じた。

「別に、謝るようなことじゃねえ」

しかし当の本人はそんなことあまり気にしていなかったらしく、私の言葉にぶっきらぼうな声で答えると、再び好物であるみたらし団子を頬張り始めた。

……気難しい人なんて言われているけれど、もしかしたら意外とそうでもないのかもしれない。

「まだ何かあるのか」

『……ふふ、いいえ。美味しいですね、みたらし団子』

「お、おう」