松野家三男やってます。9

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3人で写真を確認するとピースをしているハイ松の前に
一羽の鳩が遮ってあまり良い写真ではなかった。



「……ハイ松兄さん、撮り直そっか」



『ううん。これ面白いからこのままにしておこ？
こういう思い出も残すの大切でしょ』



「流石にポジティブ過ぎない？」



気まずそうな空気が流れる中、
ハイ松は嬉しそうに頬を緩めて写真を見て言う。
あまり気にしていなさそうなハイ松だった。



「あれ、ハイ松兄さん。寝癖増えてる」



『え！？』



「上に2つ跳ねてる」



「お、本当だ。可愛いじゃないか」



ハイ松は恐る恐る頭を優しく触ってみると、
上に2つだけ寝癖がついていることに気付き、
みるみる顔が真っ赤になっていく。



『な、なんで早く言わないの！？』



「いや、僕も今気付いたし」



『うぅ…っ』



ハイ松は顔を赤くして涙目になりながら、
頭を撫でて寝癖をなんとか治そうとしていた。
が、彼が寝癖を治そうとしてもピョンッと跳ねてはの繰り返しだった。



『な、治った！？』



「治ってない。あれ？寝癖増えてる？」



「一松みたいになっているな」



『えぇ！？なんでぇ！？』



ハイ松が寝癖に勝つまで数分は掛かったという。


ｰｰｰｰｰｰｰｰ



「っ！梨！チョロ松！梨だ！」



「はいはい、分かったから。梨何個か買おうか」



「ブラザー…！」



『ふふっ』



まるで親子のようなやり取りにハイ松は笑って
デジカメを構えて1枚写真を撮る。



「また撮ってんの？」



『微笑ましくて』



「俺ならいつでもスタンバイOKだぞ、ハイ松」



『ちょ、ちょっとそこでポーズ取るのやめようか…。
ここ、他の人も居るから…』



市場の真ん中で派手なポーズを取るカラ松に
ハイ松はやんわりと断りながらやめさせて、
カメラをカバンの中にしまった。



「ハイ松兄さんは？買いたいものある？」



『ハンバーグかな』



「ここじゃなくても買えるでしょうが」



『そうでした』



相変わらずハンバーグを推してくるハイ松に
軽くツッコミを入れるチョロ松。
2人はそんな軽い会話から笑いあっていた。


ｰｰｰｰｰｰ




「うん。ちゃんと時間通りに新幹線乗ったし、後は家に帰るだけか」



時間通りに新幹線に乗り、3人は椅子に座って凭れた。



『…改めて考えてみると、1日ってあっという間だね。
楽しいことってすぐに時間が過ぎちゃう』



「ハイ松は楽しかったんだな、今日の日帰り旅行」



『…………うん、楽しかった』

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