松野家三男やってます。8

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*


なんと、そこにはダヨーンになったおそ松とカラ松もおり、
チョロ松と同様にこの国に馴染んでいた。
トド松とハイ松は更に混乱していた。



｢この国の奴らは皆良い奴だよん｣



｢警戒するなよん｣



｢いや、語尾によんを付けるな！腹立つ！！｣



おそ松とカラ松もこの国にたった数分というのに馴染みすぎていて、
トド松曰くあまりにも腹立つ語尾にご立腹の様子。



『…ねえ、チョロ松。何があったのか説明してくれるかな』



ハイ松は倒れているチョロ松の前に立って屈み込み、
敢えて微笑んで優しい声で説明を求めていた。



｢…んっ。この子は、僕を助けてくれたんだ。
あの時、酔いと恐怖で死にかけていた僕に…彼女は…｣



ｰｰｰｰ



｢うわぁぁぁぁ！！！！……え？｣



｢だよん｣



彼女はチョロ松にただ胃腸薬を渡したかっただけらしい。
彼らはただ三人を歓迎したかっただけだろう。
だからあの様に追いかけていたというわけだ。


ｰｰｰｰ




｢そう！ここにはなんでもあるよん！
ダヨーンの吸い込んだ食料、電化製品、植物、エ ロDVD、麻雀自動卓！
しかも全部ただで何不自由ないよん！
そして何より、ずっとニートでいても誰も怒らないよん！

最初は何故なのか皆不思議だったよん。でも分かったんだよん！
皆同じだからだよん！そう！顔も言葉も立場も！
そこから生まれる底なしの穏やかさと安心感！
それこそが！ダヨーン族の神髄だよん！

だから俺達、ずっとここで暮らすって決めたんだよん！｣



｢馬鹿なの！？なんでそんな馬鹿なのおお！！？？｣



ダヨーン族の優しさに触れてすっかりと馴染んでしまったせいか、
元の世界に頑なに帰りたくないと言い張るおそ松。
そんな彼らにトド松はこれ以上に無いほど嘆いていたのだった。



『(おそ松兄さんの言うダヨーン族って、
もしかしたら…もしかしたらダヨーンに吸い込まれた人達…。
元はただの普通の人間だった可能性も十分にある…。

三人がずっとニートでも誰も怒らないのは…。
もしかしたら…ダヨーンになった人達も………何か失敗したのかな。
仕事で失敗とか、倒産とか、人間関係だとか。

……まさか、ね)』



ダヨーン族の正体を見破り、深読みをしだすハイ松。
しかし、もしかしたら自分の気のせいなのではと思い、
あまり深く考えないように首を横に振った。



｢てなわけでハイ松、後はよろしく頼むよん｣



｢お前が兄弟を引っ張っていくんだよん｣



『なんでぇ！？』

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