163 サファイア ページ23
「アンタ強いな!弟子にしてよ!!」
それは天空闘技場のリンクでひと試合を終えたときのことだった。そんな風に呼び止めてきたのは、金髪と赤毛の男子二人組。ドキン。いけない。ちょっと動揺してる。まったく似てないのに、どうして思い出したりしちゃうんだろ。ゴンとキルアのことを。
「……やだ」
「えー!?なんで!?」
「わたしがアンタらの師匠になることで何か利益があるの?それを示せたら考えなくないよ」
「お金は……そんなにない」
「お引取りください」
「待ってくれよ!オレらピンチなんだって!ハンターライセンスをとられちゃいそうなんだ!」
「……ふうん?」
ちょっとだけ興味が出た。まだ10代前半にしか見えないのにハンターライセンスを持っているほどの実力があるなら、話を聞くだけの価値はある。わたしは安いカフェで彼ら話を聞いてやることにした。
「オレら天空闘技場をなめてたんだ……200階クラスに上がって目をつけられるとは思ってなかった。奴らのやり方が汚くって、つい、一ヶ月以内にお前らを倒すから出てけって啖呵きっちゃって。それができなかったらライセンスでも何でも渡してやるって条件で取引しちまった」
「ロックだね」
「だから助けてよ!!アンタはあんな奴らコテンパンにできるくらい強いし!!」
「きみたちはともかく、わたしのメリットは?」
「い……いつか絶対に返すから!!」
「信用できない言葉ランキング1位かよ」
「オレらを可哀想だと思わないのか!?」
「同情に訴えてもダメ」
ふと金髪の男の子の親指で光るものが目に入った。深い色合いのサファイアだ。大粒のそれは光るたびに色を微細に変えてゆく。似ている、あれと。クールで鋭利な、あの瞳。
「……指輪、綺麗だね」
「ああ、オレの宝物なんだ」
「ちょうだい」
「話聞いてた?宝物だって……」
「それくれたら師匠になってあげなくもない」
「頼むよ!」「ぜってーヤダ!」ってふたりの間にゴチャゴチャしたやりとりがあった後、泣く泣くわたしに「よろしくお願いします」と譲ってきた。
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ま - 一気に読み切ってしまいました!楽しかったです!途中感情移入して泣いちゃうとこもありました笑更新楽しみに待ってます! (4月16日 21時) (レス) @page39 id: 46b1d29c13 (このIDを非表示/違反報告)
◎SaE(プロフ) - あなたの書く文章が大好きです。 (12月22日 11時) (レス) id: 5b13a1df84 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新待ってます。 (9月2日 23時) (レス) id: fdd6e06bf4 (このIDを非表示/違反報告)
こもれび(プロフ) - 有希さんと好みが似ているのか、好きなキャラや印象で近しいものが多くて共感しまくりです。こちらの作品を詠ませて頂くのは多分これが3度目なのですが、性懲りも無く毎度同じ場面で泣いてます。顔面が涙でぼろぼろです。言葉巧みな表現が大好きです。応援しています。 (2022年12月28日 4時) (レス) @page39 id: 4d4f4ab205 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる-ameizumi(プロフ) - 今出ているところまで読み切りましたがとて好きな文章構成や内容で、ところどころでほんとに泣いてしまいそうでした。終わりが見えてきそうですが最後まで応援しています。 (2022年12月23日 0時) (レス) id: 5d2780f034 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有希 | 作成日時:2021年11月14日 16時