158 ようこそここが現実です ページ18
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「ごめん、待った?」
「ううん。今きたところ」
じゃあ行こっか、とわたしとわたしの彼氏は近すぎず遠すぎない距離で歩き出した。手は、まだ繋がない。野球部にしては背の小さい彼、わたしとそんなに歩幅が変わらない。
友情は永続的なのに恋愛は刹那的だ。
恋にはいつも賞味期限が付きまとう。友達から好きなひとに、それから好きじゃなくなったひとになる。わたしはそれを学んでいる。知らないときのがしあわせだったかな?
今日のデートのメインは映画なのに、見ている間の記憶がほとんどなくて、気がつくとバーガー屋の席で「映画おもしろかったね」とありきたりな感想を言われた。覚えてない……ってことは、わたしには
合わなかったんだろうな。話を合わせるためにおぼろげな断片を何とかひっぱり出す。あーアレね。うんうん。それね。
「なんかA変なところで笑ってなかった?」
「そーだっけ」
「そーだよ。ほら、戦いの前に……俺はきみに会うために生まれてきた、とか言うシーン」
「あ、思い出した。洋画ムーブだよねぇ。誰かが誰かに会うために生まれるはずないのに。ひとは最終的にひとりで生きてくしかないのに」
「う、ん?」
「わたし真実の愛だとか永遠の誓いだとか……そう言うの聞くとムズムズして、笑っちゃうの」
「……」
「性格悪いかな」
「や、わかるぜ俺も」
「でしょ?ポテトいる?」
「いる」
友情は永続的なのに恋愛は刹那的だ。わたしはいつかこのひとを好きじゃなくなる。ていうか現時点で悪いところに目がついてきている。そのうちラインの頻度も減って、あんなに熱くした気持ちも忘れていく。「期末テスト近い」とか「部活の大会が」とか当たり障りのないことを話しているうちに、頼んでいたホットティーは冷めた。
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「恋には終わりが付きまとうけど、友達だったらずっと好きでい続けられそう」
友達は不思議そうにちょっとうなずいてみせた。わたしは昨日ラインで送られてきた「別れよう」に、「わかった」「楽しかったよ」「ありがとう」の三点セットを返した。少しだけ傷ついた。
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ま - 一気に読み切ってしまいました!楽しかったです!途中感情移入して泣いちゃうとこもありました笑更新楽しみに待ってます! (4月16日 21時) (レス) @page39 id: 46b1d29c13 (このIDを非表示/違反報告)
◎SaE(プロフ) - あなたの書く文章が大好きです。 (12月22日 11時) (レス) id: 5b13a1df84 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新待ってます。 (9月2日 23時) (レス) id: fdd6e06bf4 (このIDを非表示/違反報告)
こもれび(プロフ) - 有希さんと好みが似ているのか、好きなキャラや印象で近しいものが多くて共感しまくりです。こちらの作品を詠ませて頂くのは多分これが3度目なのですが、性懲りも無く毎度同じ場面で泣いてます。顔面が涙でぼろぼろです。言葉巧みな表現が大好きです。応援しています。 (2022年12月28日 4時) (レス) @page39 id: 4d4f4ab205 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる-ameizumi(プロフ) - 今出ているところまで読み切りましたがとて好きな文章構成や内容で、ところどころでほんとに泣いてしまいそうでした。終わりが見えてきそうですが最後まで応援しています。 (2022年12月23日 0時) (レス) id: 5d2780f034 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有希 | 作成日時:2021年11月14日 16時