144 天才ダーリン ページ4
旅が終わる。
ゴンは無茶な制約をして寝たきりになるし、キルアはひとりの女の子を救う必要がある。いよいよ旅の終止符がうたれるのだ。それは確定した未来で、どうしようもないことだった。
ぼんやりと目の奥ではじまる映画は、ハンター試験会場のカットから。主権はもちろんゴンとキルアで、わたしは助演で監督でカメラマン。見どころはいっぱいあるけど、ひとつ選べって言われたなら、ゴンが「キルアに会えてよかった」って伝えるシーンかな。カラオケで誰かがグチャグチャに混ぜてきたジュースを3人で押しつけあうところなんて最高の笑いどころでしょ?
……あ、ちょっと待ってよ、キルアとケンカしたわたしが泣いているところはカットしたい。
旅の途中、嫌なこと、いっぱいあった。命のやりとりは当たり前だし、修行はきつかったし、蜘蛛やらヒソカやらのおかげで普通に生きてたら一生かけてもあえないような怖い目にもあったし、骨が折れるのにも慣れた。これは比喩じゃなくて。だけどそれを補っても余りあるくらい楽しかった。こんなに楽しくていいの?そう戸惑うくらい、楽しかった。いいんだよ、ってゴンとキルアが手をひいてくれた。目まぐるしい日々が終わらないでほしかった。女は永遠という言葉がすきなんだなぁ、と身をもって知った。
キルアは両手を離した位置で合わせて、放電の調子を確かめていた。様子を見るかぎり良好。
いつだって最高のコンディションで揃えてしまう、なるほどその天性の才には、ゾルディック家もこだわるわけだ。
「A」って手をこまねいてくる。気がつくと、たくましい腕のなかに閉じこめられていた。加減もなく力がこもる。
キルアの肩越しにイカルゴがびっくりしてるのが見えた。わたしもびっくりしていた。こちらをガン見してるイカルゴをメレオロンが肩を組んで、そっと後ろに向かせた。有能か。元からしずかだった部屋がシンとした。喋ってくれ。いたたまれない。キルアはポツリポツリと話しはじめた。
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ま - 一気に読み切ってしまいました!楽しかったです!途中感情移入して泣いちゃうとこもありました笑更新楽しみに待ってます! (4月16日 21時) (レス) @page39 id: 46b1d29c13 (このIDを非表示/違反報告)
◎SaE(プロフ) - あなたの書く文章が大好きです。 (12月22日 11時) (レス) id: 5b13a1df84 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新待ってます。 (9月2日 23時) (レス) id: fdd6e06bf4 (このIDを非表示/違反報告)
こもれび(プロフ) - 有希さんと好みが似ているのか、好きなキャラや印象で近しいものが多くて共感しまくりです。こちらの作品を詠ませて頂くのは多分これが3度目なのですが、性懲りも無く毎度同じ場面で泣いてます。顔面が涙でぼろぼろです。言葉巧みな表現が大好きです。応援しています。 (2022年12月28日 4時) (レス) @page39 id: 4d4f4ab205 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる-ameizumi(プロフ) - 今出ているところまで読み切りましたがとて好きな文章構成や内容で、ところどころでほんとに泣いてしまいそうでした。終わりが見えてきそうですが最後まで応援しています。 (2022年12月23日 0時) (レス) id: 5d2780f034 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有希 | 作成日時:2021年11月14日 16時