現代文明が引き合わせてくれる ページ9
「……ん？」
また寝すぎた。最近こんなのばっかりだな。手さぐりで目覚まし時計を探す……あった。やば。こんなの遅刻確定だわ！ってあわてて起きたけど、土曜日だったことをふいに思い出した。安心して背中からベッド倒れるとしあわせをいっぱい感じた。贅沢に二度寝をきめこんじゃうぜ。
チリン。どこかの家の風鈴の音がする。のっそり携帯を手に取りベッドに戻ったわたしは、かすむ目を擦って電源を入れる。チャットの画面を開く。
「やっとテスト終わったわ
「死にかけた」
「お疲れ！」
「うちもちょうど終わったところ」
すぐに返信がきた。画面越しでも人柄のよさがわかるような唄は、どうやら同い歳らしい。らしい、と言うのは、私はここのメンバーと、面識がないから。いわゆるネッ友。
「二人とも大変そうだな」
「うー高校生になんの嫌になる……」
「アニキはそんなに頑張ってなさそうだったけど」
中学生らしい、ろろからも返信がきた。唄はとろろは、同じ私立の中高一貫校に通っていてリアルでも友達みたい。羨ましいなあ。「アニキ」は二人の会話によく出てくるひとの名前だ。
「そう見えるだけで、実は裏で頑張ってるんじゃないかしら」
「多分ね」
「アニキに甘いよな」
「そうかな？」
「また剣道部の試合に出されたんだって聞いたわ」
「すげーよな！部員じゃないのにレギュラーだよ！」
「アニキ」は、剣道をかじってたという理由で夏の大会に剣道部の助っ人として駆り出されたとき、全国大会直前まで行ったらしい。本当は行けたらしいけど、東京まで行くのが面倒だから、というよくわからない理由で断ったという伝説のエピソード。
「でも帰宅部なんだっけ？」
「そうなんだよ、いっつも主将の勧誘から逃げ回ってる。もったいねぇよな」
「何それ笑う」
それから唄は話題を変えた。わたしの知らないひとの話をここでするのはよくないと思ったんだろう、やさしい子だ。でもわたしは不思議とアニキの話をもっと聞いていたかった。不思議と。
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翡翠(プロフ) - 展開が神‼です！どろろにはまったのホント最近なんですけど、マジで最高です！ (2022年3月23日 16時) (
レス) @page17 id: d32df67ed7 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 朔弥139さん» はじめまして！感想うれしいです。アニメ完結から2年が経った作品でもあなた様のコメントをいただけたことで、いつかやろうと思っていた加筆修正に着手することができました。本当にありがとうございました。 (2021年7月3日 9時) (レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
朔弥139(プロフ) - 初めまして、何度読み直しても好きな作品です。本当にありがとうございます (2021年6月12日 11時) (レス) id: 327451071d (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - あやかさん» 全て！？ありがとうございます……！ひさしぶりに自分で読み返すと拙く読みづらい文だと感じましたが、そんな風に言っていただけて……ありがたいです。またどこかでお会いできたらと思います！！ (2020年3月17日 11時) (レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 全て読ませていただきました。ほんとに素敵な物語をありがとうございます。『どろろ』次回作をお待ちしています。よろしくお願いします。 (2020年3月9日 21時) (レス) id: e756cf6e94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有希
| 作成日時：2019年6月28日 20時
