欲しがるばかりの二人 ページ6
「えっ、姉ちゃんも入んの？」
「えっ、駄目？」
何かふっきれた百鬼丸が温泉にいくと言い出した。わたしは手ぬぐいを胸の前にあててお湯に浸かろうとする。
「そ、そんなことはないけど……」
「どろろも女の子でしょ？」
「言うなって！そうだけどさ……」
どろろは顔を真っ赤にしてわたしと百鬼丸を交互にちらちらと見た。ああ、そういうこと。
「見慣れてるから大丈夫」って笑ったら凍りついた。主に空気が。温泉に入ってるのに体感温度がおよそ冬。
「待ってくれ、誤解だ、今のはそういう意味じゃなくってほら、義手を直す時とか……」
わたしがしどろもどろに言い訳していると「ふっふっふ。ずいぶん賑やかだと思ったら、なんだ、あんたたちかい」そう湯けむりの中から琵琶丸さんが現れた。
どういう仕掛けなのか知らないけど、体温の上がったどろろの背中に地図が浮かび上がる。赤い入れ墨のような地図は繊細で、ああうつくしいなと不謹慎なことを思った。照れたどろろが、姉ちゃんの背中も見せろよってくっついてくる。やめちくり。
「どうしたんだコレ……痛そう……」
「だから見ないでって言ったじゃん」
きっと今のわたしの背中には擦り傷のようなアザっぽい跡がいくつも付いているんだろう。どろろは「すまねえ」って素直に謝ってくれた。そんなに気にしてないけどね。
「なんで姉ちゃんそんな怪我してるんだ？」
「言うほど大したことじゃないよ」
「言ってくれよ。姉ちゃんはいつもそうやって我慢する。気を遣いすぎるの、おいらには禁止だからな」
「……でも」
「おいらはそんなに頼りないか？」
「そ、そんなわけないよ。ただ……わかった。どろろのことは信頼してるからね。この傷は百鬼丸がいっぱい腰ふるから摩擦で」
「わーーーーーーーッ！！姉ちゃんのバカ！！！」
「ちょっタンマ、殴らんといて、痛いって」
「すけべ！へんたい！もう口きいてやんねー！」
「えっなんで」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 261人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
有希(プロフ) - 月兎さん» お久しぶりですー！この鬼神みある百鬼丸をカッコいいと…ありがとうございます。目線が変わっても感情がよく読み取れない、本当のところは何を考えてるんだろう、と気になってしまう、そんな風に描けたらと思うております。夢主の答え待っててくださいね。 (2019年6月26日 22時) (
レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
月兎 - お久しぶりです。あの男性に連れていかれた夢主さん大丈夫でしょうか？連れさられた夢主さんを助け出す百鬼丸カッコいいです。明日の0時から最終回……目が離せません。夢主さんが現代に帰るのか帰らないのか、夢主さんの答えが気になります。更新頑張ってくださいね。 (2019年6月23日 17時) (レス) id: fdb5669a18 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - この小説のためにさん、お久しぶりです。コメント嬉しいです。感無量です。ありがとうございます。どうぞアニメが終わっても、この作品の結末までつきあってください。夢主と百鬼丸とどろろの行く末見届けてください。よければまたコメントしてくださいね。 (2019年6月21日 22時) (レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 星の桜さん、またコメントありがとうございます。どろろ最終回いよいよですね。何だか今からどきどきしてます。テスト関係でしばらく更新できないので、待っていただけると嬉しいです。私はタオルケットで挑む予定です。 (2019年6月21日 22時) (レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
この小説のために - 久々に見に来て、たくさん更新されてて、嬉しい限りです！やはりこの作品が私の中で一番です！どろろ最終回にあたり、この作品にも終わりがやってきてしまうのかと思うと、寂しいですが、夢主の行く末を見たいのもたしか……。心がごちゃごちゃだぜ！！ (2019年6月18日 23時) (レス) id: 94dd1e54ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：有希
| 作成日時：2019年4月7日 12時
