【どろろ】推しの相棒になった件について ２【百鬼丸】

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「だからお願い、泣かないで」

指先で、その美しい露を拭う。

「どろろは、私たちの、光なんだから」

「…おいらいつ発光したよ？蛍じゃねえんだから」

「私もこの表現好きくないけど、これしかないんよ」

伸ばした手の先が見えないくらいの室町の夜道を、はっちゃけた声と笑顔で、照らしてくれるようなどろろ。

光と呼ばずして、何と呼べばいい？

「アニキの光は、姉ちゃんだろ」

「私はただの相棒だよ」

と言うより、鬼神だ。

百鬼丸のためなら何でもできた。

その分、身体を欲した。

心を欲した。

こんなに欲にまみれた光があってたまるか。

光は、与えるだけだ。

奪うはずがない。

「この先もずっと、傍で照らしてあげてね」

「それって…」

私は走り出した。

どろろが待ってと叫ぶ声と、琵琶丸さんがそれを止める声とを、ぼんやり聞きながら。

この戦いが終わったら、私はきっと。

そうどこかで感じながら、大地を蹴る。

頭が勝手にはたらく。

今のうち、できる限り思い出しておきたいらしい。









天邪鬼騒動の村を出た後、埋め合わせのつもりなのか、一晩中甘やかされに甘やかされた夜のこと。

花嫁衣装が真っ白なのは、相手に染められる、って意味があるかららしいよと私は笑った。

「だったら私じゃなくて、百鬼丸が着るべきだね。白くて、綺麗だから。
…ああでも、今はちょっと違うかな」

怒りを、恨みを、人の愚かさを、着物脱いでいちゃつくことまで知って。汚れちゃったとは言わないけど。

百鬼丸は、誘蛾灯だった。

そして私は、寿海さんの近くに棲まっていた化物のように、百鬼丸の白さに、鬼神が欲しがるほどの生きる力に、惹かれたんだ。

余計なこと教えまくった私は、ごめんねの代わりに、頬を撫でた。

「それなら、もっと、汚して」

私の手に、擦り寄せる。

「俺は、身体を取り戻すまで、気持ちとか、知らなかった。知って、苦しくなった。知らなきゃよかった、とも思った。
でも俺は、人でありたい。
気持ちを知る前の俺は、人から、遠かった。そう思う」

醜い感情すらほしい。もっと人に近づきたい。

Aに近づきたい。

「せっかく汚れて染まるなら、Aの色がいい」

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