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川に流されて、意識を取り戻すと、涙いっぱいにしたどろろのどアップが広がった。

「…おはよー」

殴られた。グーで。

「散々心配かけさせやがって!一晩中目覚まさない姉ちゃん見張ってた、おいらの気持ちがわかるかよ!?」

「ほんとすまん。それより、ここ醍醐で合ってる?」

「ああ。村の皆に感謝しろよな」

私が知ってる展開になってくれてるらしい。

「て言うか、姉ちゃん、ぼろぼろ!」

「まーね。でも百鬼丸と派手にケンカした時より、全然マシだから平気平気」

「えっ!?姉ちゃんたちって喧嘩したことなかったんじゃ?」

「あったわ。思い出したわ」

あれはすごかった。

「お互い手出してないよ。足は出したけど」

で、私も百鬼丸も肋の骨三本くらい折った頃に寿海さんが帰ってきて。

「パパンにめちゃめちゃ叱られたのが、一番堪えたなぁ。
家半壊させたからしょうがないけど」

離せと暴れるどろろを抱き締めながら、一息つくと、杖の音が近づいてきた。

「無事で何より、A」

何か意味ありげに微笑む琵琶丸さん。

どろろと会った経緯を説明してくれる。

「森を歩いてたらね、とんでもないことが聞こえてきたのさ。
『鬼神にだってすがる。Aのためなら』
…とか、何とか」

あの父と同じ過ちを繰り返そうとも、私を。

「それを琵琶丸さんが…」

「いんや、止めたのはあたしじゃない。男さ。笠を被って、へらへらとした男。
あたしが口を挟むより先に、そいつが太刀で、追い払っちゃったのさ。
何者だか知れないよ。
成立しかけた鬼神との取引を、無効にしちまえたんだから」

あいつが、止めてくれた。

複雑だけど、納得する。

私のように、異世界から来た人間でもなきゃ、そんな芸当はできないだろう。

「そいで百鬼丸が屋敷に向かった後、その男があたしらにAのことをべらべら話し始めてね」

何言いやがったあいつ。

「どんなこと?」

「別に大したことないさね。
元の世界に帰る時期が近づいてる、とか
帰ったらここでの記憶が消える…とか」

めっちゃ大したことある。

気のせいか、琵琶丸さんの視線が責めている気がする。ちくちくする。

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有希(プロフ) - 月兎さん» お久しぶりですー!この鬼神みある百鬼丸をカッコいいと…ありがとうございます。目線が変わっても感情がよく読み取れない、本当のところは何を考えてるんだろう、と気になってしまう、そんな風に描けたらと思うております。夢主の答え待っててくださいね。 (2019年6月26日 22時) (レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
月兎 - お久しぶりです。あの男性に連れていかれた夢主さん大丈夫でしょうか?連れさられた夢主さんを助け出す百鬼丸カッコいいです。明日の0時から最終回……目が離せません。夢主さんが現代に帰るのか帰らないのか、夢主さんの答えが気になります。更新頑張ってくださいね。 (2019年6月23日 17時) (レス) id: fdb5669a18 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - この小説のためにさん、お久しぶりです。コメント嬉しいです。感無量です。ありがとうございます。どうぞアニメが終わっても、この作品の結末までつきあってください。夢主と百鬼丸とどろろの行く末見届けてください。よければまたコメントしてくださいね。 (2019年6月21日 22時) (レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 星の桜さん、またコメントありがとうございます。どろろ最終回いよいよですね。何だか今からどきどきしてます。テスト関係でしばらく更新できないので、待っていただけると嬉しいです。私はタオルケットで挑む予定です。 (2019年6月21日 22時) (レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
この小説のために - 久々に見に来て、たくさん更新されてて、嬉しい限りです!やはりこの作品が私の中で一番です!どろろ最終回にあたり、この作品にも終わりがやってきてしまうのかと思うと、寂しいですが、夢主の行く末を見たいのもたしか……。心がごちゃごちゃだぜ!! (2019年6月18日 23時) (レス) id: 94dd1e54ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:有希 | 作成日時:2019年4月7日 12時

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