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頭が、がんがんする。
俺は寝たまま、崖を見上げた。
Aが連れ去られたことを思い出す。
立ち上がる。
血が垂れた。
拭く。
また垂れる。
妖に化けた馬が、鼻面で、俺をつつく。
俺が跨がると、すぐに駆け出した。
夜明けがきて、急な坂道を見つける。
登る。
どろろが、アニキ、と叫びながら走ってくるのが見えた。
「姉ちゃんが、隠れてろ、って…ごめん。おいら、守られっぱなしだ…ごめん、ごめんなさい」
どろろはしゃっくりを上げながら、何度も謝る。
「大丈夫」
俺は言う。
「取り戻す。身体も、Aも」
どろろを後ろに乗せる。
「なぁ、アニキ…姉ちゃんならきっと、上手くやれてるよな」
震える声で言った。
小さな手が、俺の着物を掴んだ。
馬は醍醐を目指す。
これは特別で、疲れることはない。
醍醐の兵を見つけた。
追いかけた。
そいつが転んだ。
泥まみれの手を踏んだ。
そいつは何かを叫びながら、俺の足元でもがく。
「Aは、どこだ」
「知ったことか!鬼神の味方など!」
左足に体重をかける。
骨が折れる音。
また叫ぶ。
「城に連れてかれた、とは聞いた!」
左足を離す。
すぐ逃げ出して、俺を睨んだ。
「これは噂だがな、あと半時で刑を受けるらしい!何とおいたわしい、お前の加勢をしたために!」
そいつが言えたのはそこまでだった。
俺が斬って捨てた。
何も感じない。
俺の中にあった心のようなものは殺しておいた。
その方が強い。
強くなければ守れない。
「アニキ…?」
「大丈夫」
どろろの背中を撫でる。
馬に乗る。
走る。
止められなかった。
あんなに、あいしてたのに。
鬼神になるくらい、あいしてたのに。
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有希(プロフ) - 月兎さん» お久しぶりですー!この鬼神みある百鬼丸をカッコいいと…ありがとうございます。目線が変わっても感情がよく読み取れない、本当のところは何を考えてるんだろう、と気になってしまう、そんな風に描けたらと思うております。夢主の答え待っててくださいね。 (2019年6月26日 22時) (レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
月兎 - お久しぶりです。あの男性に連れていかれた夢主さん大丈夫でしょうか?連れさられた夢主さんを助け出す百鬼丸カッコいいです。明日の0時から最終回……目が離せません。夢主さんが現代に帰るのか帰らないのか、夢主さんの答えが気になります。更新頑張ってくださいね。 (2019年6月23日 17時) (レス) id: fdb5669a18 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - この小説のためにさん、お久しぶりです。コメント嬉しいです。感無量です。ありがとうございます。どうぞアニメが終わっても、この作品の結末までつきあってください。夢主と百鬼丸とどろろの行く末見届けてください。よければまたコメントしてくださいね。 (2019年6月21日 22時) (レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 星の桜さん、またコメントありがとうございます。どろろ最終回いよいよですね。何だか今からどきどきしてます。テスト関係でしばらく更新できないので、待っていただけると嬉しいです。私はタオルケットで挑む予定です。 (2019年6月21日 22時) (レス) id: c151be2953 (このIDを非表示/違反報告)
この小説のために - 久々に見に来て、たくさん更新されてて、嬉しい限りです!やはりこの作品が私の中で一番です!どろろ最終回にあたり、この作品にも終わりがやってきてしまうのかと思うと、寂しいですが、夢主の行く末を見たいのもたしか……。心がごちゃごちゃだぜ!! (2019年6月18日 23時) (レス) id: 94dd1e54ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有希 | 作成日時:2019年4月7日 12時