【どろろ】推しの相棒になった件について ２【百鬼丸】

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どろろを探している内に、空は赤く塗り変わっていく。

「Aは、取り合われるのが、うまい」

「いやぁ、それほどでもあるけどー」

私の足を抱えてる方の手が、ぐ、と閉まった。

ただの骨折が、複雑骨折になりそう。

「ちょっとでも、気を、移して、みろ。その時は」

「その時は？」

「多宝丸と、まとめて、斬る」

「怖っ！」

「大丈夫。後から、醍醐景光も、送る」

「何が大丈夫なの？お義父さんと多宝丸と三人って、絶対ややこしいことになるやつ」

「冗談」

たち悪い冗談だった。

百鬼丸をそんな子に育てた覚えはありません。

いつから冗談を使いこなせるようになった。

どろろが教えたな？さては。

笑顔かわいいけど、許さ、いや、許す。

「半分、冗談」

「んん？」

本気なのかどうなのか、無表情な横顔からじゃ、計れなかった。




「百鬼丸」

「ん」

「もしさ、身体を全部取り戻した後、私がいなくなったら、どうする？」

大事なことを、何気ない言葉に隠してしまう私を、許してね。

百鬼丸は、少し考えるような素振りをして。

「探す」

「いつまで？」

「死ぬまで」

岩と岩の間を縫って、一応、私の足に配慮してくれているのか、ゆっくりと歩く。

西日が傾いた。

「…でも…時間が経ったら、他の女の人を好きになるかもよ？」

素直に喜べばいいものを、何言ってんだか。

百鬼丸はここまで言ってくれたのに。

勝手に考えて、勝手にダメージ負った。

「かも、しれない」

無表情に、無感情な声音から、汲み取れるものはない。

だよね、と笑おうとしたら、でも、と遮られた。

「たかが、数十年、生きたところで、Aより、好きな人、見つかる気が、しない」

本当、この相棒は。

私のほしい言葉をくれる。

「…私も、百鬼丸と恋するためなら、
蓬莱の玉の枝だって、火鼠の皮衣だって、龍の頸の玉だって、燕のこやすがいだって、すぐに持ってきてみせるよ」

そして、こうやって世界を飛び越えちゃうことだって、いとわない。

「そうか」と頷いて、歩き続ける。

もうすぐ、日が暮れる。

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