54 内心愛爆発 ページ9
「念能力の個性はきみたちが出会った人や物といった経験そのものです」
だからたくさん修行して、たくさん遊んで人生を楽しみなさい。そのための人生です。そう諭してくるウィングさんの声音はあたたかくて、わたしたちがまだ見えない何か大切なことを優しく教えてくれた。
＊
「オレじゃなかったら死んでたぞ」
キルアはそんなことを言って帰ってきた。敵を作りやすい彼は不戦勝を狙った者に閉じこめられたそうだ。可哀想に。ヤツの最大の誤算は、捕らえた相手にある。なんせキルア・ゾルディックだ。ガムテープでぐるぐる巻きにされたところで、叩き上げの暗殺者にとってはオモチャみたいなもの。肩、肘、膝、足首の関節をバキボキ外したら、簡単に抜けられたらしい。俗に言うチートってやつ。
「すごーい、カッコいい」
「は？」
「自在に関節を外せるなんてクールじゃん」
「お前な……気色悪いだろ。フツー」
「そう？足音を殺す技術も、毒を秒速で分解できる肉体も、致死量の電圧に耐えれる身体も、全部セクシーだと思うけど？」
「やっぱりお前って最高にイかれてる」キルアはわたしのおデコをこづいて笑う。
「ごめん、気に障った？」
「いや……なんか前向きになった」
意味がわからなくって、わたしは次の言葉を待つ。
「たまーにな、躊躇うときがあるんだ。殺しのために付けた技術を使うと、嫌なことを思い出したりして。だけど、そうだな、強み、なんだよな。オレの」
キルアは当たり前のことを言って、ぐーぱーと手を動かす。オレはオレを受け入れる。かつて暗殺者だったオレを肯定する。そうすると息がうんとしやすくなる。
メガネ兄さんの言葉が耳の中で再生される。オレはAと、Aの言葉にメチャクチャ影響を与えられている。その自覚はある。だったらオレの念能力はどういう風に変化していくのだろう？兄貴と似てないといいな、そう漠然と思ってはいたけど。やべえ、ワクワクする。楽しみだ。Aとゴンがいる。だからオレはきっと、大丈夫。
「A、ありがとな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 493人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
有希(プロフ) - mayaさん» いやほんとそれな…！！イル兄は他のどんな作品にもいない魅力的なキャラをしてるから一生バッキュンされてるわ…これからも出来る限り出演していってもらいたいね…！ (2021年7月10日 5時) (
レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
maya(プロフ) - 表現というか、もはや思ったこと馬鹿正直にぶちまけちゃってるね！強引、配慮がない、しつこいの全てがつまってるイルミに一生バッキュンされてる…… (2021年7月4日 14時) (レス) id: 8486f071d9 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - mayaさん» あのシーン個人的にめちゃくちゃ好きなのでmayaちゃんにギュンしてもらえて嬉しい笑笑 イル兄に甘くて優しいセリフとか言わせたくなくて、それイル兄じゃないし、ああいうぶっとんだ表現をしてくるのがイル兄だろ（偏見）！っていう私の性癖が爆発してたね！ (2021年7月4日 8時) (レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
maya(プロフ) - ん’’ん’’！！イルミさんにギュンです…あんなことを言わせるなんて……有希ちゃん強者…！！ (2021年7月3日 16時) (レス) id: 8486f071d9 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 名前さんさん» いつもコメントしてくださいよォォォッ！！（血涙）嘘です。今回もらえただけでとても嬉しいですありがとうございます！そんな風に本作のことを言ってもらえると励みになります。どうぞ完結まで末永くよろしくお願いします！ (2021年6月12日 8時) (レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：有希
| 作成日時：2021年4月9日 18時
