71 大都会、全力疾走 ページ26
わたしは資金集めを3人に丸投げして、ヨークシンの街に駆け出した。脳の糖を全部消費するつもりで記憶を掘り返す。画面越しに見た大都会、クラピカの背後にはどんなビルがあった？
9月のヨークシンの夜は暑い。走るともっと汗をかいた。血の巡る音がうるさくて、排気ガスを吸ってばかりの肺が痛む。
動かずにはいられなかった。クラピカのことが心配だった。だけどクラピカはわたしに会いたいだなんて、1ミリも思ってないだろう。彼はひとりで生きていける。わたしの物差しで図るのがおこがましいくらい強いひとだ。だのに今こうして闇雲に走っている。結局クラピカのためなんかじゃない。わたしが会いたいだけだ。自己中なやつと自嘲する。滞った車の列のどこかから、クラクションが聞こえる。
*
「……会えるわけ、ないか」
数時間後、わたしは道端のガードレールにもたれて、携帯を見つめていた。20:54が無機質に画面に表示されている。両足は重りを付けているみたいで、ちょっと動かすだけでキシキシ痛んだ。闇雲に走っていても、目ぼしい収穫はなかった。予想がついていたから諦めは早くて、腰をあげる。そのときだった。
「───A？」
「クラピカ！」
半年ぶりに会えた彼は別人だった。民族衣装の形と髪の長さ、それだけじゃない。表情に如実な変化があった。わたしにパンを分けてくれたり、知らないことをたくさん教えてくれた彼とニ度と会えることはない。もうクラピカはわたしを諭してくれない。ひとを殺め、外道の蔓延る地下に飛びこんだ彼は、わたしを叱れる理由をなくしたのだ。
センリツさんの横をすり抜けて抱きつくと、意外にも、確かな強さで応えてくれた。間近で見た目許はひどく疲れていた。
「……クラピカ、最近、本、読んだ？」
ふるふると首を横に振るのが、触れたところから伝わってきた。
「クラピカが言っていた哲学書を読破したよ。訳わかんなかったけど、面白かった」
なんだそれA、って笑った。試験中ふたりで飽きもせず本の話をしていた記憶が、やけに遠く感じられる。
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有希(プロフ) - mayaさん» いやほんとそれな…！！イル兄は他のどんな作品にもいない魅力的なキャラをしてるから一生バッキュンされてるわ…これからも出来る限り出演していってもらいたいね…！ (2021年7月10日 5時) (
レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
maya(プロフ) - 表現というか、もはや思ったこと馬鹿正直にぶちまけちゃってるね！強引、配慮がない、しつこいの全てがつまってるイルミに一生バッキュンされてる…… (2021年7月4日 14時) (レス) id: 8486f071d9 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - mayaさん» あのシーン個人的にめちゃくちゃ好きなのでmayaちゃんにギュンしてもらえて嬉しい笑笑 イル兄に甘くて優しいセリフとか言わせたくなくて、それイル兄じゃないし、ああいうぶっとんだ表現をしてくるのがイル兄だろ（偏見）！っていう私の性癖が爆発してたね！ (2021年7月4日 8時) (レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
maya(プロフ) - ん’’ん’’！！イルミさんにギュンです…あんなことを言わせるなんて……有希ちゃん強者…！！ (2021年7月3日 16時) (レス) id: 8486f071d9 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 名前さんさん» いつもコメントしてくださいよォォォッ！！（血涙）嘘です。今回もらえただけでとても嬉しいですありがとうございます！そんな風に本作のことを言ってもらえると励みになります。どうぞ完結まで末永くよろしくお願いします！ (2021年6月12日 8時) (レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有希
| 作成日時：2021年4月9日 18時
