初恋は実るためにある ２【HUNTER×HUNTER】

48　彼氏彼女 ページ3

「あ〜Aが浮気してる。どうしてやろっかな。慰謝料とか請求しよ」



　ひどい言われようだった。天空闘技場が出している雑誌を見ていただけなのに。200階クラスの特権としてあたえられた個室だけど、わたしたち3人はひと部屋に集まりたがった。キルアがキャンディを咥えて、わたしの隣にドッカリ腰をおろす。



「期待のイケメン特集ね……Aはどいつがタイプ？」

「しいて言うなら、このひとかな」

「は？オレという者がありながら？殺すぞ」

「キルアに似てるから」

「バッカお前ハズいだろ」



　キルアはこそばゆそうに笑った。手のひらの返しようがすさまじい。怒ったときなんてキャンディーの棒がメキッと音を立てていたし。理不尽が過ぎるけど、そんなところもかわいいなぁと思う。



「逆にキルアはどういう子が好き？」



　他に買ってきておいたファッション雑誌を彼パラパラめくる。「全員おんなじ顔にしか見えねー」とか失礼極まりないことを言いながらも金髪のモデルを指さした。あどけない顔立ちで、えくぼが特徴的な女の子。



「意外だな。こういう感じが好きなんだ」

「は？なに平然としてんの？ダーツの的にしろよ」

「ダーツの的にはしないけど……キルアにこういう子が寄ってきたら遠ざければいいんだね」



　キルアは照れくさそうに笑う。ゴンがいないとこうだ。意外にもキルアは初めてできた彼女に浮かれてるみたいで、甘えてくるし、かわいがってくれる。でもゴンが帰ってきたとたん突き飛ばされるんだよね。そっちから密着してきたくせに。



*


　修行の合間はずっと遊んでいた。たまにズシも呼んだりして。今日の行き先はカラオケに決まった。ゴンが歌い終わって点数が画面に表示される。ちなみに優勝候補はキルアだ。カラオケ初体験ってウソだろう。ウソと言ってくれ。ヤバいな。このままじゃビリになって、おごらされちゃう。マイクをもって立ち上がるとゴンがタンバリンを振った。


わたしがラブソングを選ぶと、キルアが「オレに向かって歌えよ」なんて、からかってくる。

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