62 中二病の疑い ページ17
こもれびが地面にまだら模様を作る。キルアの顔は白いから、透けた葉の色がうつっていた。3人でくじら島を遊び回って、映画にできるくらい密度の濃い時間を過ごした。
ゴンは植物の名前をよく知っていて、コレはね、コレはね、って教えてくれた。ハイビスカスみたいな花をわたしが褒めると、1本、手折った。わたしの編みあげた髪にチョコンと差してくれる。「Aの黒髪に映えるね」って笑った。ゴンがモテる理由がわかった気がした。
2人が木にぶらさがったツタによじのぼって、ターザンみたいに遊びだした。ふいにツタが切れてドボンと湖におちたら、お尻から浮かび上がってきた。久しぶりに涙が出るほど笑った。
笑い転げていると2人がジリジリ寄ってきた。あとはもうお約束で、わたしを連れて水に飛びこみやがった。
島の夜闇はまるで目を閉じたみたいに暗かった。ゴンが慣れた手つきで火を起こした。
「そーいやAの家だけ行ってねえな」
「う」
「見られる側はハズいんだぜ、結構。なんか不公平じゃん」
「そーだそーだ」
ゴンも便乗してくるし仕方ない。いい機会だし正体をぶっちゃけますか。
「わたし異世界人なんだよね」
「……は?」
「ジャポン出身ってウソ。出身は異世界にある日本。つまるところ戸籍なしの住所不定なの」
2人は「そういう設定?」とそろって首を傾げた。また中二病を疑われている。
「キルアの彼女でしょ、どうにかしてよ」
「いやオレの手にはどうにも……」
わたしに背を向けて何やら話し合っている。傷つくぞ。
「どうしたら信じてくれるの?」
「ハイそーですか、って信じられねえって。そんなマンガみたいなこと」
「確かにAは頭いいのに、国とか偉人の名前とか珍獣のこととか……そういうの、ぜんぜん知らなかったよね」
「ゴンなら信じてくれると思ってたよ」
「いやまだ信じきれてはいないけどさ」
あれれ?意外と現実的な12歳たちだった。結局わたしは中二病を患っていると判断された。
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有希(プロフ) - mayaさん» いやほんとそれな…!!イル兄は他のどんな作品にもいない魅力的なキャラをしてるから一生バッキュンされてるわ…これからも出来る限り出演していってもらいたいね…! (2021年7月10日 5時) (レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
maya(プロフ) - 表現というか、もはや思ったこと馬鹿正直にぶちまけちゃってるね!強引、配慮がない、しつこいの全てがつまってるイルミに一生バッキュンされてる…… (2021年7月4日 14時) (レス) id: 8486f071d9 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - mayaさん» あのシーン個人的にめちゃくちゃ好きなのでmayaちゃんにギュンしてもらえて嬉しい笑笑 イル兄に甘くて優しいセリフとか言わせたくなくて、それイル兄じゃないし、ああいうぶっとんだ表現をしてくるのがイル兄だろ(偏見)!っていう私の性癖が爆発してたね! (2021年7月4日 8時) (レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
maya(プロフ) - ん’’ん’’!!イルミさんにギュンです…あんなことを言わせるなんて……有希ちゃん強者…!! (2021年7月3日 16時) (レス) id: 8486f071d9 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 名前さんさん» いつもコメントしてくださいよォォォッ!!(血涙)嘘です。今回もらえただけでとても嬉しいですありがとうございます!そんな風に本作のことを言ってもらえると励みになります。どうぞ完結まで末永くよろしくお願いします! (2021年6月12日 8時) (レス) id: 67c2a31e1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:有希 | 作成日時:2021年4月9日 18時