128 青いほど炎は熱い ページ35
目がさめるとそこは病院だった。酸素マスクは息をするたびにふすーふすーと音がした。お腹は包帯まみれになっていた。傷は相当みたいで、いまも裂けそうに痛い。右手……動く。左手……も動く。よしよし。五体満足。声が出なくて困った。これじゃ誰も呼べない。眼球をぐるぐるさせていると、様子を見にきた看護師さんが気づいてくれた。
「いやぁ、まさか生き返ってくれるとは。長いこと医師をやっていますが、こんなのは初めてです」
お医者さんはほんとに感動したみたいで目を潤ませていた。話によると、どうやらわたしは三日かけて奇跡的に一命を取りとめたらしい。よかったあ。そこから話せる程度に回復するまで半日はかかったけど。
*
「……ひ、ひさしぶり、キルア。
お見舞いきてくれてありがと〜……」
ひどく疲れている。ちょっと痩せたかもしれない。いつも生命力に煌めくサファイアは、今は深い穴を思わせる。くちびるはカサカサで、「大丈夫？」って聞きたくなるような変貌ぶりだった。これ、わたしのせい？そうだわな。
「……メシ食えるようになった？」
「あ、うん、ちょっとだけ」
「……今日は何食った？」
「うどん、一杯」
「うまかった？」
「そうだね、薄味だったけど……」
キルアが笑おうとして、でもダメだった。白いほおが不自然に強ばっていた。どんな顔をすればいいのかよくわからないみたいだった。上滑りした会話が途切れて、気まずさからシーツに視線を落とした。「あのさキルア、ゴンは……」そう言いかけたときだった。
「なんで死のうとしたんだよ、お前」
ドッ、と心臓が音を立てた。ハンマーで殴られて波紋が広がるみたいに、おおきな鼓動が全身に伝わる。何も答えないわたしにしびれを切らして、ガツンとベッドの脚を蹴ってきた。やめちくり。病院で、こちとら重傷者だぞ。今のキルアの青い炎みたいに静かで、それが逆に恐ろしくて、周りを焼き尽くすほど熱くなっている。ガチギレだ。
「どうしてカイトの代わりにやられようとした？」
喉に何か詰まっているみたいに声が出ない。怖い。キルアが怖い。こんな表情は、目は、初めて見る。
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ちーちゃん - わざわざお返事ありがとうございます！完結まで楽しみにしています！ (2021年11月14日 17時) (
レス) @page49 id: efb35b509b (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - ちーちゃんさん» ちーちゃん、コメントありがとうございます！最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります！次章もよろしくお願いします！ (2021年11月14日 16時) (レス) id: d83879ced4 (このIDを非表示/違反報告)
ちーちゃん - 更新嬉しいです！また頑張ってください！ (2021年11月10日 15時) (レス) @page9 id: efb35b509b (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - yuriori12911さん» コメントありがとうございます。いろいろ確認したところ途中から自動変換機能が外れてしまっていたみたいです何故か。すみません。直しましたのでご報告させていただきます。ご連絡ありがとうございました。 (2021年11月10日 7時) (レス) id: d83879ced4 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 無気力に自信が有る人さん» いろいろ確認したところ途中から自動変換機能が外れてしまっていたみたいです何故か。すみません。直しましたのでご報告させていただきます。早とちりして申し訳ありませんでした。 (2021年11月10日 7時) (レス) id: d83879ced4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有希
| 作成日時：2021年7月16日 18時
