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124 ビートを刻め ページ31

気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い……きもちわるい。わたしはガラスケースから逃げるようにキルアの背後へさっと隠れた。女王蟻の足はぎらぎらとグロテスクに光っていた。確かに虫は苦手だけどそれ以上に……よからぬ予兆を示すあの足は直視できない何かを持っていた。カイトが出どころを探そうといい、みんなで海に出発してしまう。



「A、大丈夫?顔色が青を通り越して白になってるけど」

「正直、だいじょ、ばない」

「近くにあるホテルまで送ってあげようか?」

「ううん……お願い、行かせて」




 カイトの仲間からの連絡が入り、足の持ち主の正体がみんなに知れ渡る。調べていくうちにカイトはNGLが怪しいと目をつけた。国境兼検問所まで運んでくれるトラックを見つけるまで時間はかからなかった。民族衣装っぽい格好のおじさんから、入国条件を事務的に説明される。




「A。やっぱり気分がすぐれないようだし、ここで引き返してもいいのよ?」

「……いや、行かせてください」

「見た目より頑固だね。どうしてそこまで付いていこうとするの?」

「……これが、最後の戦いだから」

「……え?どういうこと?」

「Aは中二病患者なんだ」

「あっそうなのね。可哀想に」



 いつも雑に中二病で済まされる。非常にありがたいけどさ。わたしはスピンの気遣いに感謝しながらも茨の道を選んだ。めっちゃ逃げたいけどね。ここまで来たら逃げられない。逃げたら、ゴンとキルアと一緒に鍛えてきた意味がなくなっちゃう。



*



「神に感謝……」

「どうした?急にラッパーみたいなこと言い出して」



 NGLで入国するには自然素材で作られた服しか着用を許されていないので、向こうから支給された。生で見るキルアの黒タートルと裾の膨らんだズボン姿に、オタクはやられました。涙を流すレベル。かわいすぎる。入国してよかった。


 ふざけられたのはそこまでで、気味が悪いくらいしずかな高原を馬で駆け抜けていく。手綱を握る手がカタカタと震えている。こら。逃げようとするな。カイトを救うんだ。しっかりしろ。A。

125 ずきずき→←123 カイト



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ちーちゃん - わざわざお返事ありがとうございます!完結まで楽しみにしています! (2021年11月14日 17時) (レス) @page49 id: efb35b509b (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - ちーちゃんさん» ちーちゃん、コメントありがとうございます!最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります!次章もよろしくお願いします! (2021年11月14日 16時) (レス) id: d83879ced4 (このIDを非表示/違反報告)
ちーちゃん - 更新嬉しいです!また頑張ってください! (2021年11月10日 15時) (レス) @page9 id: efb35b509b (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - yuriori12911さん» コメントありがとうございます。いろいろ確認したところ途中から自動変換機能が外れてしまっていたみたいです何故か。すみません。直しましたのでご報告させていただきます。ご連絡ありがとうございました。 (2021年11月10日 7時) (レス) id: d83879ced4 (このIDを非表示/違反報告)
有希(プロフ) - 無気力に自信が有る人さん» いろいろ確認したところ途中から自動変換機能が外れてしまっていたみたいです何故か。すみません。直しましたのでご報告させていただきます。早とちりして申し訳ありませんでした。 (2021年11月10日 7時) (レス) id: d83879ced4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:有希 | 作成日時:2021年7月16日 18時

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